家族の愛に花束を -ヤマハハコ- (花期:8月~9月)

山では、秋を告げるように咲き始める花があります。

低地の街の方ではまだまだ暑さ極まる夏の真っ只中にあっても、夏の期間が短い高地では、それらの花を見かけると、どこか秋の足音が聞こえてくるようにも感じます。

そんな、秋を感じさせる花のひとつに「ヤマハハコ」があります。

「ヤマハハコ(山母子)」は、キク科ヤマハハコ属の多年草です。主に中部以北の亜高山帯から高山帯に分布しており、西日本では「ホソバノヤマハハコ(細葉之山母子)」が分布しています。

「ヤマハハコ」の名前の由来は、「ハハコグサ(母子草)」というキク科ハハコグサ属の越年草です。越年草とは、一年生植物(一年草)のことでその中でも特に、秋に発芽し越冬し翌年に枯れる植物のことを越年草または冬型一年草と呼びます。

ハハコグサは、「春の七草」のひとつとしても有名で別名「御形(ごぎょう)」とも呼ばれています。茎葉の若いものを食用にし、4月から6月の花期には、頭状花序という多数の小さな花が集まってできている黄色い花が、さらに花束のようになって咲きます。

ハハコグサという名前の由来は、はっきりしたことは分かっていませんが、新芽がやや這うことから「這う子」がなまったものではないかという説があります。

ヤマハハコは、このハハコグサに似ていることからその名前が付きました。ただ、ハハコグサの黄色い花束に対して、ヤマハハコの花束は輝くような白さが印象的です。

実は、ヤマハハコの白い花びらみえている部分は、総苞片(そうほうへん)という、つぼみを包んでいた部分で葉です。花はその中央に見えている黄色い部分で、ハハコグサと同じ頭状花序となっています。これはキク科の花すべてに見られる咲き方です。

↓ヤマハハコのつぼみの状態です。

自然の中で自生しているヤマハハコもきれいなのですが、お花屋さんなどで売られているヤマハハコの入ったドライフラワーやリースも本当にきれいです。そんなヤマハハコの花言葉は「親子愛」「純情」だそうです。

学名 Anaphalis margaritacea の後半部分(種小名)は、元々の語源がギリシア語の「真珠」を意味する言葉からきており、つぼみをつけた頃のヤマハハコは、本当に純白そのもので真珠のような輝きを放ちます。

この秋は、山で、賢者の森で、素敵な花言葉を持つきれいな花にほっこり癒されてはいかがでしょうか。そんなヤマハハコが届けてくれるものには、ぴったりの言葉のように感じます・・・

「愛をこめて花束を」

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