※これは過去にあった、愛すべき出会いや思い出を、筆者独自の視点でご紹介しているシリーズでございます。(おかげさまで第九回目)
久しぶりにお届けします「あの日の」シリーズ。2018年の最初を飾るのは、山で出会うと嬉しい国の天然記念物「ニホンカモシカ」です。
しかし、後々ご紹介する写真を見てもお分かりいただけると思いますが、その風貌は、とても可愛らしく見えたりする反面、時に山の神が降臨したかのように神々しく見えたりもします。故に主題が「カモシカ様」なのです。。。笑
ニホンカモシカってどんな動物?
ニホンカモシカは、日本の固有種で、一般に日本で呼ばれる「カモシカ」はニホンカモシカを指すことが多いです。
カモシカ様は「シカ」じゃない ~分類について~
シカ(鹿)と名前が付いていることからシカの仲間と間違われがちですが、正式には、偶蹄目(ぐうていもく)ウシ亜目ウシ科ヤギ亜科のカモシカ属となります。
つまりウシ(牛)や、ヤギ(山羊)と同じ仲間ということになります。
実際、シカとは違い、ウシ科のほかの種同様、角は枝分かれせず、生えかわりもないことが特徴として挙げられます。
カモシカ様のスタイルは・・・ ~形態について~
ニホンカモシカの大きさは、
体長:105~112センチメートル
体重:30~45キログラム
ほどで、野生のシカより小柄です。
カモシカといえば、「カモシカのような足」。女性のスラリと細く伸びた足を「カモシカのような足」と称して褒める、美しい足の代名詞となっています。
しかし、厳しい山岳で生きるニホンカモシカの足は実際は太く、力強く、なかなかの低重心(笑)で、たくましい雰囲気です。
ニホンカモシカの写真を見せながら女性に「カモシカのような足デスネ」と言おうものなら、かなりイラッとされることと思います。
カモシカのような足 ~褒め言葉が指すものとは~
そもそも「カモシカ」は、パソコンや携帯・スマホで変換していただけるとよく分かりますが、漢字で「羚羊」と書きます。
しかし「羚羊」は「レイヨウ」とも読み、レイヨウは、偶蹄目(ぐうていもく)ウシ科約130種のうち、ウシ属とヤギ亜科以外の約90種、四肢が細く走るのに適した形をもつ一群の動物のことを指し、別名「アンテロープ」ともいいます。
代表的な動物としては、インパラ、オリックス、ガゼルといった主にアフリカの草原や砂漠に群生する草食性の動物がおり、ライオンやチーターといった肉食動物から逃げる際の姿は、独特な跳躍ストライドで、巨大なウサギが地上で弾んでいるかのようです。
これは、多くのレイヨウが強力な大腿四頭筋を持っており、跳躍力に優れるためといわれています。とくにレイヨウの仲間で最速の「スプリングボック」の跳躍力から放たれる最高速度は100km/hに達し、これは、世界最速の陸上動物「チーター」の100~115km/hに匹敵する速さでありながら持久力では勝るそうです。
ここまで読んでなんとなく察した方もいらっしゃるかもしれませんが、もともと、「カモシカのような足」とは、この「レイヨウ」を指し、実際、その優雅な姿から伸びる優美な前後足は、美しい足の代名詞といって間違いのないものです。
では、なぜ「カモシカのような足」となったのでしょうか?
一説によりますと、カモシカとレイヨウは同じ漢字で「羚羊」と書くわけですが、以前、カモシカはレイヨウの一種とされており、もともとレイヨウの方を指す意味で「羚羊(カモシカ)のような足」という表現が生まれました。
しかしその後の分類で、ヤギ亜科のカモシカはレイヨウには含まれないこととなり、表現だけが残ったとのことです。
もともと日本にはインパラやオリックスやガゼルといった動物がいなかったため、日本人に一番なじみの深い固有種のニホンカモシカがイメージされてしまっていたこともあり、今日も多くの日本人の脳内は「ニホンカモシカの足」で歩み続けています。
清里高原で見られるカモシカ様フォトギャラリー
ここでは、清里高原の各地で出会い、運よくカメラに収めることができたカモシカ様の姿をお届けします。どうぞごゆっくりご堪能くださいませ。
清里湖畔 源太山・石尊山(源太ヶ城跡)のカモシカ様
八ヶ岳から流れ出る大門川の下流に位置する清里湖(大門ダム)。その湖畔にたたずむ「源太山・石尊山」はかつて「源太ヶ城」という山城があった場所でした。
そこで出会ったカモシカ様は、どこか「カモシカキング」と呼べるような百獣の王の風格、スタジオジブリの長編アニメーション映画作品「もののけ姫」に出ているかのような神聖な雰囲気をもっていました。
下記写真で、その雄姿がお分かりいただけますでしょうか?笑
このカモシカ様は、この山のヌシかもしれませんね。
いつも(この山で)お世話になっております。。。
川俣川渓谷のカモシカ様
八ヶ岳から流れ出、清里高原を通るもうひとつの川「川俣川」。清里高原の名所「黄色い橋(八ヶ岳高原大橋)」「赤い橋(東沢大橋)」がかかる川として知られています。
その遥か上流側で出会ったカモシカ様はシックな漆黒の風貌で、これはこれで凄まじいオーラを放っているように見えました。あくまで個人的感想です笑
どこにいても、こっちを見てます笑
じぃぃ・・・・・(照)
八ヶ岳のカモシカ様
こちらは、母なる山「八ヶ岳」。最高峰「赤岳」と「横岳」の間くらいの場所で、赤岳から北の山域は長野県に入ります。
そこで出会ったのは、可愛らしいおしりでした笑
一心不乱に食事をとっておられます。
こちらには気付いていないようで・・・
上る。
上る。
再び良い食事場所を見つけられたようです。
でも、そこ、登山道のすぐわきなんです・・・(汗)
あ。見つかった。(当然か笑)
徐々に歩を進め、(結果的に)間が詰まっていく私。
しかし人に慣れているのか、どこか、のんびりゆったりしているカモシカ様。
意に介さず再び食す。
(ニホン)カモシカの足はこれです!カモシカ様のように山を駆け抜けたい。。。
普通にのんびりゆったりしている様子ですが、実際は、このようなすごい場所に立っています。
ベストショット☆
もうひとつベストショット☆テヘペロ
最後に・・・ ~絶滅危惧種のカモシカ~
最後にご覧いただくのは、八ヶ岳稜線からの風景のほんの一部です。とても美しく、母なる山はひとそれぞれではありますが、私にとって一番好きな山は、この山です。
八ヶ岳を含め、その広大な裾野にはとても貴重な自然があり、その中で多くの動植物が生きていて、人間もその一部の住人です。
今回ご紹介した、国の天然記念物であるカモシカは、ここ八ヶ岳を含め、本州・四国・九州に分布しており、その中でも四国・九州のカモシカは年々その個体数を減らしており環境省レッドリスト(絶滅のおそれのある地域個体群)に指定されています。
絶滅危惧の要因はさまざまではありますが、ひとりひとりが自然のその大切さを知り、人の手で助けたり守ったりしながら、ときにその恩恵に与り(あずかり)助けられながら、バランスの良い関係を築いていけたら良いなと思います。
レッドリストに入ったから大切になるのではなく、当たり前にそばにあるものや、生きてる時点で大切なものであるんだと思いたいです。