ここ、山梨県の最北に位置する北杜市は、東・西・北 の三方をそれぞれ有名な山に囲まれた地域となっています。
東に秩父山地(ちちぶさんち)の「茅ヶ岳(かやがたけ)」「金ヶ岳(かながたけ)」「瑞牆山(みずがきやま)」「金峰山(きんぷさん)(※1)」。
※1)金峰山へ登山口・登山道は北杜市に存在しているものの、山頂は北杜市から東に200mほど外れており、山梨県甲府市と長野県川上村の境に位置しています。
西に南アルプスの「甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)」、同じく「オベリスク」で有名な鳳凰三山(ほうおうさんざん)の「地蔵岳(じぞうだけ)」。
そして、北に八ヶ岳連峰(やつがたけれんぽう)の「赤岳(あかだけ)」「権現岳(ごんげんだけ)」「編笠山(あみがさやま)」。
実は、北杜市は2004年(平成16年)にそれぞれの地域の合併(=平成の大合併)によって誕生した地域です。なので同じ北杜市に居ても、それぞれ思う「母なる山」は違っていたりします。
今回は北杜市の東、「日照時間日本一」、20万本の「ヒマワリ畑」で有名な北杜市明野町(旧・明野村)から、この時期にしか見られない「茅ヶ岳の千本桜(千本桜公園)」をお届けしたいと思います。
茅ヶ岳ってどんな山?
茅ヶ岳は、前述したように、山梨県の北端に位置する北杜市と、お隣の甲斐市に跨ってそびえる標高1704mの山です。標高の割に見事な山容で、北にそびえる八ヶ岳に似て見えることから「ニセヤツ(=八ヶ岳の偽物)」なんて失礼な呼ばれ方もしています(笑)
茅ヶ岳は、日本百名山の作者「深田久弥(ふかだきゅうや)」氏が、1971年(昭和46年)3月21日の登山中に脳卒中で亡くなったことから「深田久弥終焉の地」として全国的も多く知られる山です。68歳の生涯でした。
ちなみに、深田久弥氏は山に登る祭には必ず「あんぱん」を持って行っていたそうです。最後の登山となった茅ヶ岳でも「あんぱん」を持って登山に臨んだそうです。亡くなった茅ヶ岳山頂の直下には「深田久弥先生終焉の地」と記された石碑があり、行き交う登山者を静かに見守っています。
前述しましたが、茅ヶ岳の麓、北杜市明野町は日照時間日本一を誇っています。
“ この地域では古くから「茅ヶ岳には雲がかからない」という言い伝えがあるほど、晴天率が高かったようです。これは明野の地形が原因のようで、明野の一番低い所を、北から東南にかけて塩川が流れていて、一年を通じて川沿いに風が吹き、上昇気流が起こりにくく、そのため茅ヶ岳に雲がかからなく、太陽の光が降り注ぐことになるためと言われています。 ”
『地元のテレビ局「YBS山梨放送」の情報より』
太陽がいっぱいに降り注ぐ山である反面、下記のように、茅ヶ岳は昔から水の出ない山とも言われていました。
“ 茅ヶ岳山麓の明野村においては、地形的に涸沢が多く、伏流水の湧出もごくわずかで、土
壌は厚い火山性のローム層に覆われ、湧泉もないため水飢饉常習地帯であった。 ”
『国土交通省「水利用の現状」より』
充分なインフラが整備された現代では、昔のように水で困ることは無く、明野の作物も美味しく育ちます。茅ヶ岳は約20万年前は火山であり、特有の火山灰土壌と日本一の日照時間、寒暖差という条件に育まれた野菜たちはこの地の自慢でもあります。ここで取れる「明野金時」「浅尾大根」などは、とても美味しいことで有名です。
北杜市の西にそびえる「甲斐駒ヶ岳」は、世界に誇る「水の山」です。
相対して東にそびえる「茅ヶ岳」は、まさに「太陽の山」と言える場所で、ここ北杜市には太陽と水があふれています☆
茅ヶ岳・千本桜公園へのアクセス方法3つ
「千本桜公園」へのアクセスはいろいろな方法がありますが、茅ヶ岳の山腹、標高約1000mくらいの場所にあるので、最短でも30分以上の山歩き(林道歩き)は避けられない場所にあります。
アクセスは、「深田記念公園」からのルートと、「明野ふれあいの里」からのルートがあります。ともに鬼のように長い林道歩きが伴い、軽く見積もっても最低1時間は見ておいた方が良いでしょう。
ここでは上記2つのルートに「期間限定の最短ルート」を加えた3つのアクセス方法をご紹介させていただきます。
① 深田記念公園
② 明野ふれあいの里
③ 前山大明神林道の駐車スペース(期間限定)
アクセス①:深田記念公園
【車で】
中央道「韮崎IC」を出てすぐの「山梨県道27号 韮崎昇仙峡線」通称・昇仙峡ラインを山側の右(東)方向へ。道なりに真っ直ぐ6.9km、車で約11分の場所です。
・駐車スペース:約20台(無料)
【電車とバスで】(※2)
JR中央線「韮崎駅」から、山梨橋北交通株式会社の「茅ヶ岳みずがき田園バス・韮崎深田公園線」に乗り「深田記念公園」で下車。
・運賃:大人510円 / 小人260円
・所要時間:約30分
【深田記念公園から千本桜公園へ】
茅ヶ岳へ向かう登山道を進み、舗装された道路「前山大明神林道」に合流したら左へ。前山大明神林道を進み、その後、右手に黄色いゲートのある「千本桜公園への林道」が現れたらそちらへ進む。
アクセス②:明野ふれあいの里
【車で】
中央道「須玉IC」か「韮崎IC」から「茅ヶ岳広域農道」へ。隣接している有名な「山梨県立フラワーセンター・ハイジの村」や「ヒマワリ畑」のある場所から北に約600mほどの所にある交差点を右(東)方向へ。交差点には「家族健康旅行村 明野ふれあいの里」という道路標識がありますので分かりやすいと思います。交差点からは道なりに真っ直ぐ2.3km、車で約7分の場所です。
・駐車スペース:約10台(無料)
【電車とバスで】(※2)
JR中央線「韮崎駅」から、山梨橋北交通株式会社の「茅ヶ岳みずがき田園バス・韮崎瑞牆線」に乗り「茅ヶ岳(金ヶ岳)登山道入口」で下車。上記【車で】の交差点の場所なので、そこから徒歩で2.3kmです。
・運賃:大人720円 / 小人360円
・所要時間:23分+徒歩約30分
※2)運行期間について
茅ヶ岳みずがき田園バスは、季節運転となっています。毎年、4月第一土曜日から11月23日までの期間限定となりますので、お間違えのないようご利用ください。運行期間(カレンダー)、運行時刻は、山梨橋北交通株式会社のホームページに掲載されていますので、詳細はそちらをご覧ください。
【明野ふれあいの里から千本桜公園へ】
茅ヶ岳・金ヶ岳へ向かう登山道を進み、舗装された道路「前山大明神林道」に合流したら右へ。前山大明神林道を進み、その後、左手に黄色いゲートのある「千本桜公園への林道」が現れたらそちらへ進む。
アクセス③:前山大明神林道の駐車スペース(期間限定)
最短のアクセスとして、茅ヶ岳・金ヶ岳の南から西側を鉢巻のように巻く「前山大明神林道」を利用する方法があります。上記「深田記念公園」「明野ふれあいの里」からの両ルートとも、必ず、この林道を歩くことになります。
ルートはやがて、この林道から分岐して千本桜公園へ向かう林道に入りますが、分岐(ゲート)前にある駐車スペースから歩けば最短30分ほどの林道歩きで到着できます。
しかし、この前山大明神林道は、例年(※3)12月中旬くらいから翌年4月下旬くらいまで冬季閉鎖され、この期間中は車での通行は不可となっています。よって、残念ながら桜の花が咲き乱れる季節は利用することはできません。
※3)参考までに、2017-2018年の冬期閉鎖は、平成29年12月11日(月)~平成30年4月25日(水)となっています。ただし、冬季閉鎖は降雪等により早まる場合もありますので、通行される場合は、山梨県のホームページから
【 山梨県 > 林道に関する注意事項について > 林道通行規制情報検索 】
で確認していただくことをお勧めします。林道前山大明神線の2018年の規制解除予定は4月26日の予定となっています。
茅ヶ岳の千本桜*お花見気分で*フォトギャラリー
登山慣れしてない人が行くのは、ちょっと大変な茅ヶ岳の千本桜公園。
さらに、短い桜の季節の中、都合と天気がうまく合うとも限らない。
でも・・・
パソコンや携帯があれば、素敵な千本桜が見られます。
そう、賢者の森ならね☆笑
とか言っておいて、私も少しタイミングを逸してしまったようで若干散り始めている桜もありましたが、雲ひとつ無い最高の青空とのコラボレーションにはなりました。写真は少ないですが、2018年の茅ヶ岳・千本桜、どうぞごゆっくりお楽しみください。
コメント
こんにちは、茅ヶ岳の日帰り登山を考えており大変参考になりました。明野ふれあいの里の駐車場について、場所など詳細をご教示頂きたくお願いします。施設に問い合わせた所、施設利用者(宿泊者)のみ駐車が可能で、日帰り登山だけの場合は深田記念公園の駐車場を利用してくれと言われました。登山と花見を両方楽しみたいと考えているのと時間制約から、明野ふれあいの里に停められればベストの為、お知恵を拝借したいです。宜しくお願いします。
真鍋雄一様
いつもありがとうございます。当記事を参考にしていただいたとのコメント大変嬉しく思いましたし、また、真鍋様のお話から今後より良いブログづくりを目指す上での貴重な参考にもなりました。コメント本当にありがとうございました。
ご質問の件について回答させていただきますが、少し細かい説明になりますので、もし不明なことがございましたらどうぞ何度でもお気軽にご質問くださいませ。まず、もしグーグルマップのストリートビューなどを併せてご覧になることが可能でしたら位置関係や現地の様子がかなり分かりやすくなるかもしれません。(もし逆に、グーグルマップのストリートビューがご覧になれなくても問題ありません。)
ブログ記事でもご紹介させていただいている「茅ヶ岳広域農道」に隣接している「山梨県立フラワーセンター・ハイジの村」や「ヒマワリ畑」のある場所から北に約600mほどの所にある交差点を右(東)方向へ進み、交差点からは道なりに真っ直ぐ2.3kmで突き当りになるわけですが、ストリートビューでは、そこに「←(左)CAMPica(キャンピカ)明野ふれあいの里」「金ヶ岳・茅ヶ岳 登山口(右)→」と書かれた立派な茶色の看板が確認できるかと思います。2019年4月6日現在は同じ看板が「←(左)PICA八ヶ岳明野」「金ヶ岳・茅ヶ岳 登山口(右)→」と書かれた白い看板に変わっています。
ストリートビューの、この看板が見える地点でビューを回転し周囲を確認していただきますと(2019年4月6日現在)、銀色のスバル・レガシーワゴンと水色のマツダ・デミオが駐車しているスペースがお分かりいただけるかと思います。このスペースが、明野ふれあいの里(付近)から金ヶ岳・茅ヶ岳へ向かう登山者がひっそり使わせていただいている駐車スペースになります。もし、ストリートビューが確認できなくても、上記の看板のすぐ左手前側(突き当りで左折してすぐに左側)ですので比較的見つけやすい思います。実は、PICA八ヶ岳明野(明野ふれあいの里)利用者向けの専用駐車場はこの奥になり、同宿泊者向けの駐車場はゲートからさらに奥になります。
この駐車スペースは軽自動車でキツキツに詰めれば10台はいけるかもしれませんが、現実的には、余裕をもって普通車で7台かと思います。なので、時間制約がある中ではございますが、もし可能でしたら出来るだけ早くお越しいただくのが有利かもしれません。
裏技というほどのものではありませんが、ここから伸びている登山道は金ヶ岳・茅ヶ岳を巻くように走っている前山大明神林道に一旦合流するわけですが、実はその間は車でも走れる未舗装の道になっています。この道は、千本桜の見ごろを完全に過ぎてしまう例年4月25日までは前山大明神林道合流手前にある黄色いゲートが閉じており、これより先への車両通行が禁止となっているのですが、このゲートまでの未舗装の区間の道脇にところどころあるスペースを見つけて駐車し、ここから登山に向かわれている方もよく見かけます。とはいえ場所が場所だけに「賢者の森」としては安全を保障することもできず“建前上”推奨はできないわけですが(^_^;)もし真鍋様のお車がオフロード可能な車でしたら、自己責任の範囲内での最終手段としてこのような方法も心に留めておいていただけたらと思います。
登山とお花見を両方楽しむ計画☆とっても素敵ですね!また、時間的制約がある中で綿密に計画を立てておられるあたり人柄が見えて本当に素敵な姿だなと思いました。真鍋様はもうルートはお決まりでしょうか?もしまだ考え中であったり、千本桜を経て茅ヶ岳山頂までのピストンで計画されているのであれば、、、金ヶ岳山頂から茅ヶ岳山頂を経てそこから千本桜へ下山していく一周のルートもとってもオススメです☆山岳地図などで確認されるとお分かりいただけると思いますが、前述のピストンルートと距離はほとんど変わらないくらい+金ヶ岳と茅ヶ岳の間で少しアップダウンがあるためその分の累積標高が増えるくらいのルートとなっています。このルートの売りは、深田久弥氏終焉の地として有名な茅ヶ岳と、実はそれより60m高いお隣の金ヶ岳のピークハントもして帰ってこられるだけでなく、実は、金ヶ岳と茅ヶ岳の間には「岩のトンネル」という流行りの“映える”写真が撮れるスポットがあることなんです☆ただ、金ヶ岳・茅ヶ岳は太古の火山特有の急峻な地形であるにも関わらずどの登山道も直登に近く、乾いた土壌のため少々スリッピーな場所が存在しております。体力的・時間的に余裕がございましたら、登山計画検討の材料に加えていただけたら幸せです(笑)登山の際には素敵な思い出とともに十分すぎるくらい旅のご安全を心よりお祈りしております。
上記の説明で不明な点などがございましたらまたお気軽にお問い合わせくださいませ。真鍋様にとって十分な安全登山ができるよう「賢者の森」としてできる限りお手伝い出来たらと思っております。重ね重ね、この度は嬉しいコメントと今後につながる貴重なご質問、誠にありがとうございました。