女王の誇りは八ヶ岳に -コマクサ- (花期:7月~8月)

今回ご紹介させていただく写真は、八ヶ岳に生息するコマクサです。

八ヶ岳の風景とともに、どうぞごゆっくりお楽しみください。

※併せて、コマクサについてのご紹介もさせていただいております。

コマクサ(駒草)について

コマクサはケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草で、最も有名な高山植物のひとつです。

名前の由来と女王の由縁

「コマクサ(駒草)」という和名は、その花の形を「コマ(駒=馬)」の顔に見立てたことに由来しています。

個人的には、ハートのように見えたり、碇(いかり)のように見えたり、ファンタジー的にいえば最終武器のような・・・見え方は人それぞれなので馬に見えないという異論も全然アリだと思います (ー_ー;)

ちなみに、近縁種の「ケマンソウ(別名:タイツリソウ)」は、コマクサに似ていながも、さらに鮮やかなピンク色(基本種)をしたハート型の可愛らしい花を咲かせます。

コマクサは、常に砂礫が動き、他の植物が生育できないような厳しい環境に生育しています。そんな中で咲かせるとても美しい花の姿とも相まって「高山植物の女王」と呼ばれるようになりました。

人との関わり・歩みについて

コマクサは今でこそ、誰しもが認める「高山植物の女王」ですが、昔はそんな女王の美しさやたたずまいといった価値よりも薬草としての価値が高く、胃腸の不調に効くということで、山で修行する修験道の行者・修験者の妙薬として利用されていたそうです。

一説によると、古くから富士山と並んで信仰の山として知られる「木曽御嶽山(きそおんたけさん)」の修験者がこの妙薬「百草」の製法を山麓の村人に伝授し現在に至るといわれています。これをもとに現在もいくつかの製薬会社で製造されている「百草」の原料には、ミカン科の広葉樹「キハダ」の内皮を乾燥させた生薬・オウバクから抽出したエキスのみ、もしくはメインに使われており、コマクサは使われていません。オウバクの有効成分のベルベリンが、胃腸にすぐれた効果を表す万能薬として親しまれています。

その後、薬草のための乱採取によって「甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)」のコマクサは絶滅したといわれており、同時に南アルプス(赤石山脈)も絶滅、現在は分布していません。

また、中央アルプス(木曽山脈)のコマクサも同様の乱採取で絶滅したと考えられています。現在、「木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)」や「宝剣岳(ほうけんだけ)」の山荘周辺などで見られるコマクサは人の手によって植えられたものといわれています。

コマクサは、日本の各地で「レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)」にも指定されています。また、上信越高原国立公園、中部山岳国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園などで指定植物となっておりその採取は禁止されています。

女王には毒がある

日本の薬学者の朝比奈康彦氏が、コマクサの成分分析の研究報告を行っており、それによると全株で有毒とされています。微量のアルカロイドのディセトリンやプロとピンなどのモルヒネ様物質を含み、中毒症状としては嘔吐・体温の低下・呼吸麻痺・心臓麻痺がみられるとのことです。

Wikipedhia「コマクサ」より

じぇ!? Σ(=゚ω゚=;ノ)ノ

「毒を以って毒を制する」か、はたまた「毒と薬は紙一重」か・・・毒を含むコマクサが薬草としてどのように(どういう理屈で)効いてたのかは分かりませんでした。

ただ、猛毒として知られる「トリカブト」は、根を乾燥させたものを附子(ぶし)という生薬として薬用される例もあるので、コマクサも例外ではないのかもしれません。

コマクサの花言葉

「誇り」「気高い心」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする