オベリスクの頂点へ。「ドンドコ沢ルート」2話/全3話

「オベリスクの日」(詳しくは第1話をご覧くださいませ。)ということで11月11日から紹介しているドンドコ沢ルートで行く鳳凰三山の地蔵岳・オベリスクの頂点を目指す旅。

第1話となる前回は、青木鉱泉から出発し、標準タイムで約2時間の場所にある第一の滝「南精進ヶ滝(みなみしょうじがたき)」までを紹介しました。

南精進ヶ滝から上って程なくすると「鳳凰ノ滝(ほうおうのたき)」との分岐が現れます。ここから200mほど(5分ほど)沢に下りたところに滝はあります。

そうして辿り着くのが、迫りくるような大迫力の渓谷美の奥にたたずむ、第二の滝「鳳凰ノ滝」です。下記写真を見ただけでは一見、滝の迫力は第一の滝「南精進ヶ滝」に劣るかな?と思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、あくまで私個人の感想ですが、この滝がドンドコ沢の4滝の中でダントツに記憶に残っており、一番好きです。

この鳳凰ノ滝は「ふたつの滝」の流れで出来上がっている滝です。そのふたつの流れはまるで「鳳凰の翼」が広がっているかのようで、手前に広がる荒々しい流れは「鳳凰の尾」が伸びているかのようです。

そんなロケーションのダイナミックさの中にあって、白く優美な鳳凰の姿と、そして、まさかふたつの滝を鳳凰に見立てているとは思ってもいなかった衝撃が、一番記憶に残っている理由です。

世界に誇る水の山「南アルプス」から湧き出でる水は、凄まじい透明度を誇っています。

そんな水が豊かな山では、育まれる植生も豊かなようで、道中ではさまざまなキノコも見られました。当時は、その多様な容姿がとてもおもしろく感じ、キノコの写真ばかり撮って楽しんでいたのは、今考えるとちょっと滑稽です。笑

ドンドコ沢の4つの滝は、距離的にはほぼ等間隔に並んでいるような位置関係で、第三の滝「白糸ノ滝(しらいとのたき)」もまた、鳳凰ノ滝から上ること程なくで到着します。

下記写真は、歩いてきた道をふと振り返った時の風景です。晴れの日は、木漏れ日と清流がキラキラしていて本当に気持ちが良い旅になります。

お恥ずかしい話、「駆け出し登山者」だった頃にこの山に上った際、つづら折れの道で(つづら折れないまま)真っ直ぐ進んでしまい道を見失った経験がありました。その後、そこは多くの人にとっても間違えやすい場所であったためか、きっちりと標識が立てられ間違わないようになっていましたが、基本的にはご覧のように分かり易いトレイルが続いています。

ただ、すべての登山道にいえることですが、道が少しでも怪しいと感じたら、絶対に進まず、確実に合っている地点まで一旦戻り確認しましょう。また、迷ってしまった場合、ペンキでつけられたマーキングや木々につけられたリボンなどを探し出すことで登山道に戻れたりもしますので、まずは冷静になり落ち着いて、それらを探しましょう。

ドンドコ沢の上りで最後に現れる第四の滝「五色ヶ滝(ごしきがたき)」または「五色ノ滝(ごしきのたき)」とも呼ばれる滝に到着しました。標高2250m、南精進ヶ滝から標準タイムで約2時間30分の場所になります。

ドンドコ沢4滝の中で、個人的には鳳凰ノ滝が一番好きだと申しましたが、一般的にはこの五色ヶ滝がとても人気が高いです。

その理由としてはやはり、絶壁を約70mの落差で落ちる、美しい景観にあると思います。また、下記写真を見ておわかりいただけるかと思いますが、水の流れが上部の岩でワンクッションしているのも特徴で、そのため、美しく柔らかい広がりになり、一部は岩肌を伝うように流れます。

また、五色ヶ滝は滝壺が無く、滝下も広いことから、ここで滝を眺めながらお昼の食事などゆっくりされていく方も多いようです。清涼で優しい風と、マイナスイオンたっぷりの素敵な場所です。

それでは、登山道に戻り先に進みます。ここから地蔵岳までは標準タイムで約2時間20分ほどの道のりになります。

人によってはここまででかなりの体力を消耗しています。実際、滝目的の方はミッションクリアしてますので、ここで下山に向かう方も多いです。

ただ、振り返ると登山道の隙間から富士山が応援していたりします。

五色ヶ滝から30分~40分ほど上ると、平坦でひらけた場所に出ます。あんなに厳しかった水の流れが、ここではとても穏やかになり、また、私が歩いたときには鳥のさえずりがよく響いていて楽園のようにのどかな場所だと思いました。

そしてここからは、地蔵岳の山頂・オベリスクの姿が見えるようになります。オベリスクの圧倒的な迫力には気分も一気に上がります。

ドンドコ沢の4つの名瀑を越え、目指すオベリスクまでは、あと少しです。

<第3話へつづく>

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