あの日のライチョウ

※これは過去にあった、愛すべき出会いや思い出を、筆者独自の視点でご紹介しているシリーズでございます。(おかげさまで第四回目)

それは、ほぼ5年前となる2012年9月1日のことです。私は、名峰甲斐駒ヶ岳に黒戸尾根ルートで上らせていただきました。その時の旅は下記の投稿記事でお楽しみくださいませ。

【 甲斐駒ヶ岳「竹宇駒ヶ岳神社~黒戸尾根ルート」(2012年9月)全4話 】

九合目を越え、山頂付近にある甲斐駒ヶ岳神社本宮まであと少しというところで、素敵な出会いがあったのでした。それが、今回紹介させていただくライチョウさんです。

当時は、登山口である竹宇駒ヶ岳神社では晴れていたものの、上るほどに雲の中に入り、湧き立つ雲の中を歩くような状態でした。そんな中、白い花崗岩の岩間からひょっこり顔を出してくれたのがライチョウさんなのでした。

当時の甲斐駒ヶ岳の旅の投稿記事の中では載せられなかった写真で、たっぷりとライチョウさんの愛らしい姿に触れていただけたらと思います。

「ライチョウ(雷鳥)」はキジ目ライチョウ科ライチョウ属の鳥の一種です。ちなみに、ライチョウの英名は「雷=Thunder(サンダー)」+「鳥=bird(バード)」で「Thunderbird(サンダーバード)」とはなりません。

サンダーバードはアメリカインディアンの伝説や神話に登場する想像上の鳥のことを指し、英語圏においてのライチョウは、冬に白い羽となるライチョウ属の種を「Ptarmigan(ターミガン)」、羽の色を変化させない種を「Grouse(グロース)」と呼び区別されています。

でも、ライチョウは伝説や神話に登場する鳥ではないですが、高山の限られた地域に生息し、地球規模の環境の変化や、その他様々な要因で少しずつ生息域を狭めてきており、生息数も次第に減少していることが確認されている貴重な種であります。

ライチョウは寒冷な環境に適した種で、日本にやってきたのはおよそ2万年前の氷河期といわれています。氷河期が終わり温暖になったことで大半が寒い北側の地域へ移動していきましたが、一部が寒冷な高山に残り、それが今日本に生息しているライチョウといわれています。

しかし、地球規模の温暖化によって、下界に住む動物の生息域がより高山に近くなったことで、餌となる食べ物の競合が発生したり、捕食される危険も高まっています。また、登山者が残していった食べ物も、そういった動物を呼び寄せている要因ともなっています。

ライチョウはあまり人を恐れて逃げることをしない鳥で、場合によっては無邪気にもかなり近くまで寄ってきてくれることもあります。今回も含めそんなライチョウに出会える瞬間は一部の限られた高山にだけ許された幸せな瞬間でもあります。

ライチョウや、絶滅危惧種と言われる動植物が安心して生息できる環境がいつまでも続くよう、私たち人間の手で壊してしまわないよう大切にしていきたいものです。

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