夏の忘れもの

10月のある日、とある舗装された林道で「蝉(セミ)の抜け殻」を発見しました。

この蝉の抜け殻、宮崎駿監督の長編アニメーション映画「風の谷のナウウシカ」に出てくる「王蟲(オーム)」という、巨大な虫のようなキャラクターの抜け殻がまさにこんな雰囲気を持っていて、そういう影響もあって、見ているだけで不思議なロマンを感じざるを得ません。きっと、人によっては同じように感じる方もいらっしゃるのでは!?と思っています。

個人的には、とくに前足の造形美というか、力強さは立派すぎます。

また、この背中の部分から羽ばたいていったんだろうなって思うと、ロマンです。

蝉の種類は全世界で約1600種類、日本国内で見られるものは約30種類といわれています。

結論から言いますと今回かなり粘ってみたのですが、この蝉の抜け殻が、どの種類に属するものであるのか判別できませんでした。理由は、蝉の抜け殻で判別する観点はいくつかあるのですが、それを分からないまま撮った写真では、いずれの観点も決定的な明確さがなく、断定できるものにならなかったからです。

もっと詳細に多角的に撮影するか、抜け殻自体を持ち帰れば問題なかったのですが、終わってしまったことは「覆水盆に返らず」なので、今回その観点をまとめてみました。以下の内容が分かれば、ほぼ、どの蝉であるかが分かるので、蝉の抜け殻でその種類を判別する際には詳細に観察して分かるようにしておくと、後々調べるときに有利です。

■大きさ・・・メジャーのような計るものが無ければ、鍵などその大きさが分かるものと比べたり一緒に撮影すると良いです。

■色・・・薄い黄色、茶色、濃い茶色、全身泥だらけの種族もいます。それとは別にお腹の部分の色の入り方にも差があります。

■ツヤ・・・ツヤの有る無しで種類の違いも判別できるので、光の当たる明るいところで観察、撮影するのも大事です。

■触角・・・触角は節で7~8つに分かれていて、その数、それぞれ(とくに第3節と第4節)の長さの違いで判別できます。

■前足の形状・・・前足の太い部分にある鎌のような部分と鋸のようなギザギザの部分の間隔の開き方の違いで判別できます。

■その他・・・全体的な形状の違い、体毛の多さ、さらにオス・メスの判別はお腹の先の形状を見ることで可能です。

ところで、みなさまは「蝉しぐれ」という言葉をご存知でしょうか。

多くの蝉が一斉に鳴きたてる声を時雨の降る音に見立てた、夏の季語なのですが、日本語って本当に美しいなと思わせてくれる言葉のひとつです。そして、そんな日本語の美しさ、奥深さが大好きで、未熟ながらもこうしてブログで綴らせていただいています。

八ヶ岳南麓の清里高原ではすでに十分な寒さを感じる10月の初旬に出逢った、この、夏の代名詞である「蝉」の抜け殻は、今年はとくに日照不足と冷夏で、あまり感じられなかった貴重な「夏の忘れもの」のように感じました。

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