四国・九州を巡る旅 8日目 第一話「尺岳」

過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。

そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。

8日目 第一話

四国・九州を巡る旅は8日目に入りました。

8日目の舞台は福岡県北部にある「福智山地(ふくちさんち)」へと移ります。福智山地は、標高901m「福智山(ふくちやま)」を主峰とする山地で周辺は、「平尾台(ひらおだい)(※1)」や「皿倉山(さらくらさん)(※2)」同様に「北九州国定公園(※3)」に含まれています。

※1)平尾台(ひらおだい)は福岡県北東部の標高370m~710mに位置する、台上面積約12k㎡の「カルスト(※4)」台地。「結晶質石灰岩(=大理石)」から成るが、東北部の一帯はカルスト地帯ではなく「花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)」から成る。国の天然記念物に指定されている。

※2)皿倉山(さらくらさん)は福岡県北九州市八幡東区にある標高622mの山。「神功皇后(じんぐうこうごう)(※5)」の伝説が多く残る山としても知られ、山の名前もその神功皇后の言葉に由来すると伝えられている。

複数の登山道が整備されており、車でも8合目まで上ることができる。また、北麗からは「皿倉山ケーブルカー」が敷設されており、ケーブルカーとスロープカーを乗り継いで山頂に到達することもできる。

山頂のパノラマ展望台からは北九州市の夜景を見渡すことができ、「100億ドルの夜景」と銘打たれる場所は「新日本三大夜景」にして「恋人の聖地」としても有名。

※3)北九州国定公園(きたきゅうしゅうこくていこうえん)は北九州市の山間部にある面積82.49k㎡の国定公園。1972年10月16日に国定公園に指定された。

※4)カルスト地形(独: Karst)とは、石灰岩などの水に溶解しやすい岩石で構成された大地が、雨水、地表水、土壌水、地下水などによって浸食(主に溶食)されてできた地形。鍾乳洞などの地下地形もこれに含まれる。

※5)神功皇后(じんぐうこうごう)は、仲哀天皇の后で応神天皇の母。新羅出兵をおこない、朝鮮半島の広い地域を服属下においたとされる戦争「三韓征伐(さんかんせいばつ)」を指揮したことで知られ、逸話は「古事記」「日本書紀」に記載される。

福智山地の旅のスタートは、「音滝山釈王寺(いんたきさんしゃくおうじ)」というお寺の近く、「千本桜展望駐車場」から始まります。釈王寺は通称「畑(はた)の観音」として親しまれ、観音堂のそばにある洞窟の水は眼病の改善にご利益があるといわれています。

度々お伝えしていますが、この旅、当時私はカメラの予備バッテリーというものを持ち合わせていなかったため、四国・九州を巡る旅の8日目ともなるとバッテリー残量が限界に達していました(TωT)そのため福智山地の旅では、カメラがバッテリー落ちしながらも根気強く撮った限られた結晶(写真)となっております。

何卒ご了承いただき、今回もどうぞお楽しみくださいませ。

登山口の千本桜展望駐車場は「福岡県道61号小倉中間線」にあります。ここは北九州市小倉南区と中間市(なかまし)を結ぶ、いわゆる山越えの道です。「畑トンネル」を抜けてからの下り坂はカーブの連続で、難所としても知られています。

例によって、前日から車中泊にてここで待機していたわけですが、前述したように見事な峠道ということもあり、ここは地元の「走り屋(※6)」の皆さんが集う場所であったようで、夜の間、ドリフトのスキール音が響き渡っていました。

※6)走り屋とは、一般公道を自動車・バイクなどの運転技術で勝負、またはその練習をする「ストリートレーサー」で、古くは「カミナリ族」とも呼ばれた。公道の暴走行為や車両の不正改造は違法。近年は若者の車離れにより減少傾向にあるといわれている。

周辺は、沢や、川が多く流れているように、瑞々しい森の中を歩くような登山道が続いており、距離にして約4km、標高差にして約400mほどの道のりを越えると「尺岳(しゃくだけ)」という山に到着し、ここが第一話の目的地となります。

尺岳の山頂は福岡県の北九州市と直方市(のおがたし)の県境となっています。

下記写真は山頂から西側方面を望んでいます。眼下にひろがるのは直方市の街並みで、尺岳へは、こちらからのルートが最短です。

尺岳は標高608mほどでありながら、きれいな祠のある、ひらけた山頂からの風景はなかなかのものです。当時、先着のお兄さんがここでご飯を食べていました。

尺岳:608m

尺岳を後にしてからの旅は、ここからほぼ真南に約5km、福智山地の主峰「福智山(ふくちやま)」へと向かい、「九州自然歩道」と呼ばれる道の旅は続きます。

8日目第二話へつづく。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする