山の美しい風景に。 -ミヤマシオガマ- (花期:6月~8月)

高山の夏はとても短いです。8月といえども、お盆を過ぎると秋を感じられるようになり、それに伴い山の装備(服装)も、秋の装いが必要不可欠になります。

この短い夏山シーズンに先駆けて咲くといわれるのが、今回ご紹介する高山植物「ミヤマシオガマ(深山塩釜)」の花です。

「ミヤマシオガマ(深山塩釜)」はハマウツボ科シオガマギク属の多年草で、中部地方以北から北海道にかけての高山帯の、砂礫地や乾いた草地に生える日本の固有種です。

固有種とは、その国、あるいはその地域にしか生息・生育・繁殖しない生物学上の種のことをいい、地域個体群の絶滅が、即座に種そのものの絶滅につながるので、保護対象として重要な意味をもっています。

容姿や雰囲気が似たような種に「タカネシオガマ(高嶺塩竈)」「ヨツバシオガマ(四葉塩竈)」がありますが、ミヤマシオガマは “ 花の上唇 ” と呼ばれる、写真で見るとコンドルかハクトウワシ(アメリカの国鳥)のクチバシかシャムシール(刀剣)のように見えている部分が大きく良く目立つことも、見分ける上での特徴となっています。

八ヶ岳南麓にて

シオガマギク(塩竈)の名前の由来

シオガマギクの仲間に見られる「塩竈(しおがま)」という名前は、海水を煮て塩をつくるかまど(竈)のことを「塩竈」といいそれが由来となっています。

かつて、日本各地の砂浜にこのような塩竈があり、その風景は絵になるほど風情があって美しかったといわれ、「浜で美しいのは塩竈」という言葉が生まれたそうです。

ちなみに宮城県のほぼ中央、仙台湾に塩竈市という日本有数の漁港を有する都市がありますが、塩竈のある場所として有名になったことから地名になったといわれています。

シオガマギクの仲間は葉っぱまで美しいことから「はまでうつくしいのはしおがま」を「葉まで美しいのは塩竈」として、塩竈という名前が与えられたといわれています。

山のシオガマたちもまた、美しい風景をつくっています。

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