2018年6月29日(金)気象庁は ” 関東甲信地方が梅雨明けしたとみられる ” と発表しました。
これは、平年の7月21日頃より22日早く、昨年の7月6日頃より7日早い梅雨明けとなり、関東甲信地方が6月に梅雨明けするのは1951年の統計開始以来初めてのことで、最も早い記録となりました。
ちなみに、これまで関東甲信地方で最も早く梅雨が明けたのは2001年の7月1日でした。
そして、関東ではここしばらく猛暑が続いており、梅雨が明けたこれからは高気圧に覆われ、強い日差しの照りつける所が多くなりさらに猛暑が続くとのことです。5月中旬以降、雨の少なかった群馬県の草木ダムでは貯水率が57%にまで低下していて、下流の渡良瀬川では29日から10%の取水制限に入りました。
ただ、西日本や北陸、北日本の各地は、梅雨前線の影響で曇りや雨のスッキリしない天気となっていて、特に、南からの湿った空気が流れ込む西日本は、所々で雨雲が発達し雷を伴った激しい雨となっています。滋賀県米原市では竜巻も発生したとのことで、各地の読者様におかれましては、道路の冠水や河川の増水、土砂災害などご注意ください。
南アルプス・日向山
ここ山梨県北杜市は、日本名水百選の3つ(※1)があり水に恵まれた土地ではありますが、山岳が多い故に水に関わる災害にも注意が必要だったりします。
※1)環境省(旧・環境庁)選定の名水百選から「八ヶ岳南麓高原湧水群」「白州・尾白川」、平成の名水百選から「金峰山・瑞牆山源流」が選ばれています。
山梨県北杜市で生産されているものとして有名な「サントリー・南アルプスの天然水」はまさに、そんな世界に誇る「水の山」の麓で生まれていて、清浄な美味しい水で作られる「サントリー・シングルモルトウイスキー白州」はとても人気で、原酒が足りなくなり現在出荷停止、各地でも品薄になっているほどです。
白州の「尾白川渓谷(おじらがわけいこく)」は、名峰「甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)」の登山口としても知られていますが、登山口を同じとする山が他にあります。
それが、「日向山(ひなたやま)」という標高1660mの山です。この山の見どころは何と言っても、花崗岩が風化してできた白砂が山頂一帯に広がった「雁ヶ原(がんがわら)」の風景です。また、北向きでありながらひらけた山頂はとても陽当たりが良く、白く輝く砂と相まって、その名前に相応しい山と言えます。
日向山と山頂からの風景は、別の機会にご紹介させていただきたいと思いますが、今回は、そんな日向山の山腹の日陰にひっそりと咲く山野草をご紹介させていただきます。
日陰にたたずむ銀の竜
これは、「ギンリョウソウ(銀竜草)」という腐生植物(ふせいしょくぶつ)です。
腐生植物とは、種子植物のうち、植物体に光合成で自活する能力がなく、菌類と共生して栄養素を得て生活するものを指します。これらの植物は殆ど、または全く葉緑体を持たないので、全株が真っ白や真っ黒な容姿をしていたりします。
ギンリョウソウはそんな腐生植物の中で最も有名なもののひとつに数えられます。
とてもよく似たものに「ギンリョウソウモドキ(銀竜草擬)」というものがありますが、これは、秋に開花するので「アキノギンリョウソウ」とも呼ばれています。
ギンリョウソウは別名「ユウレイタケ」なんてちょっと失礼な名前でも呼ばれますが、キノコでもなく、ツツジ科ギンリョウソウ属の多年生植物です。とはいえ個人的には、白く立ち昇る姿を「銀の竜」に例えた名前はとてもカッコ良く思えます。
実は・・・ギンリョウソウの果実が実る頃、その姿は少し変貌し竜の頭に見えている部分が、真っ白で真ん丸なもの(=ギンリョウソウの果実)に変わります。そして、そこに黒い点のようなものが残ることから、巷ではその姿をなぞらえて「目玉のおやじ(※2)」とも呼ばれてます。
※2)目玉のおやじとは水木しげる氏の漫画「ゲゲゲの鬼太郎」に登場するキャラクターで妖怪。主人公・鬼太郎の父親で、眼球に体がついたような容姿をしている。身長9.9cm、体重33.25gと手のひらサイズで、よく茶碗にお湯を張った風呂に入っている。「オイ 鬼太郎!」というセリフはとても有名で、ものまねをするにはアニメ同様、甲高い声で言わずにはいられない。
残念ながら「目玉のおやじ」状態になったギンリョウソウの画像は保有しておらずご紹介できないのですが、ネットでギンリョウソウを検索すると、簡単に「目玉のおやじ」状態のギンリョウソウにお目にかかれますので気になった方はぜひどうぞ(笑)
ギンリョウソウは、大きいものでは15cmほどにまでなるようです。日本全土に分布し、山地のやや湿り気のある場所に生育しています。山頂までの登山道はなにかと大変だったりしますが、ふと目をやると山の日陰にたたずむ銀の竜がいたり、道中を素敵な思い出に変えてくれる出会いがあるかもしれません。