植物に付いている名前は、その植物の特徴を捉えたものであったり、日本人の言葉遊びから来ているものであったり、よく似ている何か(植物や動物や物など)になぞらえたものであったり、最初に発見された地域の名前や、よく生息している場所が入っているものであったり、英語の名前がめちゃくちゃカッコ良かったりと、本当にさまざまです。
今回ご紹介する「チシマアマナ(千島甘菜)」という高山植物は、千島列島のウルップ島(得撫島)で最初に採取されたことにチシマ(千島)を冠している由来があります。
また、とても似ていることからその名前の元になっているユリ科アマナ属の「アマナ(甘菜)」はかつて、滋養強壮があり食用された球根に甘味があることに由来しています。
チシマアマナもまた、ユリ科の植物でチシマアマナ属の多年草です。
チシマアマナは、国内では本州中部以北、国外ではヨーロッパや北アメリカなど北半球の寒帯に広くに分布しています。
同じチシマアマナ属の種に、とてもよく似た「ホソバノアマナ(細葉之甘菜)」がありますが、チシマアマナが花茎の先に1個の花を咲かせるのに対して、ホソバノアマナは花茎の先に枝を分けて1~5個の花を咲かせることが特徴です。
また、チシマアマナが高山帯の乾いた草地や岩礫地に生育するのに対して、ホソバノアマナは山地帯の日当たりの良い草地や適度に湿り気のある落葉広葉樹林などに生育します。
↓八ヶ岳の「横岳(よこだけ)」で朝の光を背に揺れるチシマアマナ。
整った6枚の白い花びらが杯状に開くとてもきれいな花です。下記写真は6月中旬頃のものになります。
チシマアマナは球根の植物なので、雪解けとともにまた、この同じ場所に同じ美しい花を咲かせてくれます。