森の恵み ミズナラ

ここ八ヶ岳南麓の森で普通にみられる樹木にミズナラ(水楢)という木があります。

2017年は7月から8月にかけての大部分が雨の日で終わってしまいました。ようやく雨が落ち着いた先日ランニングをしていたところ、このミズナラの木に早くもドングリが実っていて、悲しくも夏の終わりを告げていただいたのでした。

ファンタジーの世界でみられる、木が人間に語りかけてくるならば、それはきっとナラの木。とくにナラの巨木は本当にそう思わせるような迫力や力強さがあります。妄想豊かな私は個人的にそんなふうに思っていてお気に入りの木です。

今回はそんなミズナラを主役に少し掘り下げさせていただきたいと思います。

ミズナラはブナ科コナラ属の落葉広葉樹です。近縁のコナラやクヌギより寒冷な気候を好み、ここ八ヶ岳南麓の森で普通にみられるように、主に山地に自生しています。しかしながらその分布は幅広く、北海道から九州まで日本各地の山地で見られます。

ミズナラとナラの仲間 - その違いについて –

和名の由来は、幹や枝に含まれる水分が多く燃えにくいことから水楢と呼ばれるようにななったとされています。また、同属のコナラ(小楢)に対して別名オオナラ(大楢)と呼ばれていますが、その容姿はけっこう似ているため混乱される方が多いと聞きます。

現在、コナラの写真を持ち合わせていないため、画像での比較ができず申し訳ありませんが、コナラとミズナラは葉柄(※1)の有無によって見分けられます。コナラには長さ1センチほどの葉柄があるのに対し、ミズナラにはほとんど見られません。

※1)葉柄(ようへい)とは、植物において葉と茎を接続している小さな柄。

また、ミズナラには高山型変種として分類されるミヤマナラ(深山楢)がありますが、こちらは落葉低木で、主に本州日本海側など多雪地高山帯に自生していること、樹高が1m~1.5mほどであること、などの違いがあるため分かりやすいそうです。

(ミヤマナラの写真も持ち合わせていないため画像で比較できず申し訳ありません。)

ミズナラと人間 - その関わりについて –

人との関わりについては、古くは縄文時代には冬の保存食として利用されていました。渋味がかなり強いので丁寧にアク抜きすることで食用とすることは可能ですが、現在あえてこれを食用とすることはほとんどありません。ただし、コナラと同様にその木材はシイタケ栽培の原木として利用され、現代人の食生活を支えています。

ミズナラは強度が大きく重厚感があり、また加工性・着色性にも優れるため、木材は高級家具、建築材、洋酒樽などにも利用されています。近年では国産ウイスキーの熟成樽としても利用されており、オーク樽と全く異なる繊細な風味を醸造出来る「ジャパニーズオーク」として国際的に高い評価を受けています。

いかがでしたでしょうか?こうしてちょっと掘り下げると、当たり前に普通にそこにあったはずのミズナラが人と密接に関わり恵みを与えてくれる貴重な存在であることが分かりました。そんなミズナラも実は、一部の都道府県でレッドリスト(絶滅の危機に瀕している野生動植物のリスト)の指定を受けています。

当たり前が当たり前じゃなくなる日が来ないように、そこにある当たり前を貴重なものとして大切にしたいものです。

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コメント

  1. 熊谷義枝子 より:

    はしめまして、私どもは北海道枝幸郡枝幸町で、、60年以上林業を営んでおります。
    35年ぐらい前から、ミズナラが地球環境にいかに、大切かと言う思いで、毎年どんぐりの種を拾い、自社の畑に植え出荷しております。今は、中々造林する人も減って来ていて
    何とか、今現在あるミズナラの苗木を必要として頂ける会社様などおりましたら、是非ご連絡宜しくお願い致します。

    • haru より:

      熊谷義枝子様
      いつもありがとうございます。この度は当記事へのとても貴重なコメント誠にありがとうございました。熊谷様(の会社)は北海道枝幸郡枝幸町で60年以上も林業を営んでおられるのですね。お恥ずかしながら、まったく知らなかったもので枝幸町がどの辺にあるのかを探してみたのですが、本当に「北の大地」なのですね!町名はアイヌ語に由来するとか、毛ガニの漁獲量日本一をはじめとするオホーツクえさしブランドの豊かな海産物と、そして、面積の8割が森林という豊かな自然を活かした林業などが町や日本の産業を支えている(←枝幸町のホームページで少し勉強させていただきました笑)とか、各地の見どころとか、現地に行ったような気分なって楽しく見させていただきました。
      実は、未熟ながら過去、山のことに関する書物をいろいろと読み漁って勉強させていただいたことがございまして、そこで、日本における「林業の重要性」についても知ることができました。森林は石油のような化石燃料などとは違い再生産が可能な資源といわれています。そんな中で、日本は国土面積の60%以上が森林という世界でもトップクラスの割合で森林資源を保有する国で、天然資源に乏しい日本にとってはとても貴重な財産といわれています。なので、この森林を資源として活かし、人間の手でしっかりと管理し、育てていくことが、日本の森林事情の最大のテーマである、と、知りました。また、とくに「里山」と呼ばれる自然についてではありますが、人の手の入らなくなってしまった里山の自然は特定の植物が繁茂し、光が入りにくく風通しも悪くなり、多様な生き物が生息できない環境になっていくとのことで、「人と共にある自然」の重要さも学ばせていただきました。私自身、自然がとても好きでいろいろな山に登らせていただいたりしますが、人の手が入っていない「苦しそうな」暗い森で鳥を見かけることは本当に少ないことを実感します。逆に、適度に人の手が入ってどこかキラキラとした明るい森にはいつも美しい鳥の声が響いていることが本当に多い。。。林業は日本の産業だけでなく、おそらくそういった、生態系や地球規模の環境にすら関わってくるお仕事だと思うので、熊谷様はじめ、熊谷様の会社の皆様におかれましてはいつも本当にありがとうございます本当にお疲れ様ですとお伝えしたいです。私はとてもミーハーで(笑)ご覧いただいた記事のようにミズナラの木が個人的にとても好きなのですが、熊谷様のおこなっている35年にも及ぶミズナラの活動、私には崇高すぎて本当に頭の下がる思いです。
      >【何とか、今現在あるミズナラの苗木を必要として頂ける会社様などおりましたら、是非ご連絡宜しくお願い致します。】
      はい。見つかりましたら是非、そのようにさせていただきたいと思います。あの、提案ではございますが、もし熊谷様か熊谷様の会社様がインスタやツイッター、ホームページなどサイトをお持ちでしたら、この記事・このブログを見てミズナラの苗木を必要として頂ける会社様や、そんな会社様を知る人が、直接、熊谷様に問い合わせられるよう「コメントにサイトのリンク」などを貼られてはいかがでしょうか?フィルターはございますが、幸い、当ブログのコメントにはお持ちのサイトのリンク(URL)を入力し貼ることもできます。とはいえ、お忙しいところ大変お手数だとは思いますので、世間話程度に軽く聞き流していただいて、気が向いたら程度にご検討くださいませ☆笑
      では、長くなりましたが、この度は貴重なコメント本当にありがとうございました。熊谷様と熊谷様の会社の皆様がいつも安全にお仕事を続けられること、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りしております。

    • 友部 より:

      haruさま
      (熊谷様)
      初めまして、友部と申します。ブログコメント欄を少しお借りします。
      熊谷様のコメントでミズナラ苗のコメントを拝見しました。
      昨年父が亡くなり、急に田畑や山林を管理することになりまして、どこから手を付けるべきか迷っています。
      元々里山づくりには興味があり、10年ほど前から4haほどの荒れた雑木林を譲り受け間伐、薪を販売しその資金でまた整備することをしております。
      知り合いから、雑木があるなら乳茸というキノコの栽培はどうかとのアドバイスを頂きましたが、調べてみるとミズナラの木が茂るところが良いとありましたので探していたらここにたどり着きました。
      苗の販売サイトがあるようですが、信用のできる方より購入するのが一番と思い、北海道のものが茨城で育つ保証はありませんがぜひお取引させて頂けたら有難いです。

      haruさま
      八ヶ岳方面は大学(箱根駅伝)や社会人になってからもマラソンの夏合宿でお世話になった地域です。とても過ごしやすく良い空気で練習に打ち込んだ日を思い出しました。
      たまたま見つけたブログですがこれも何かの縁かもしれません。今後ともよろしくお願い申し上げます。

  2. 髙松ゆみ より:

    ミズナラは、福岡では、どこにありますか?

    • haru より:

      髙松ゆみ様
      いつもありがとうございます。この度は、折角コメントいただいたのにお返事とお礼が大変遅くなってしまいまして申し訳ありませんでした。ご質問の件【ミズナラは、福岡では、どこにありますか?】についてですが、すみません未熟者なもので、私も良く分からないというのが実際のところだったのですが、そんな未熟者なりにちょっとだけ調べてみましたので髙松様の疑問の解消に少しでもお力になれたら嬉しく思います。
      まず、ミズナラ(水楢)は、一般的に日本では、鹿児島県高隅山を南限に、北限は北海道から樺太・南千島まで分布しているので、このことからも福岡でも見られるものです。ただ、近縁のコナラやクヌギより寒冷な気候を好み、山地や亜高山帯に自生していることが多いです。そのため、私の住んでいる八ヶ岳の麓のような山地では、家の外に出れば当たり前のようにいてくれるミズナラの木が福岡で同じように見られるのかと言われると、おそらく全然環境が違っているのだろうなと思いました。福岡県森林組合のホームページでも、「自然植生は、標高800メートルを境に、上部ではブナ、ミズナラなどの夏緑林帯、下部ではシイ・カシ類、タブ・ヤブツバキなどの照葉樹林帯になっています。」と紹介されており、本当はご近所に生えていたらとても嬉しいのですが、福岡で主に見られるのは山地ということになりそうです。
      福岡県のホームページによりますと、霊峰・英彦山(ひこさん)で有名な耶馬日田英彦山国定公園内にある犬ヶ岳(いぬがたけ)の西側にある大竿峠の付近にミズナラ林があるとのことです。また、篠栗町のホームーページによりますと、九州大学の敷地(九州大学福岡演習林)の西端にあり篠栗町と九州大学が共同で整備・管理を行っている「篠栗九大の森」に「カシワとナラの森」という場所があり、そこに、五島列島福江島のカシワ、上対馬のコナラ、雲仙のミズナラなどを植えているとのことです。
      すみません。本当は私自身の目で見て耳で聞いたような情報をお伝え出来たら良かったのですが、インターネット上で調べたような情報のみとなってしまいました。そのため、確実性は絶対のものと言い切れないこと、何卒ご了承くださいませ。
      この度は、ブログの記事にコメントしていただき、また私自身ミズナラが好きなもので興味をもっていただけたこと、とても嬉しく思っております。あくまでいただいたコメントからの勝手な妄想でしかないのですが、髙松様は福岡にお住まいなのかな~って思いながらいろいろ調べておりましたが、福岡の山や自然も本当に素敵で、、、以前、福岡の山に立ち寄ったことがございましてそのときに触れたひとの親切さや温かみも思い出して、またいつか行けたらほんと嬉しいな~と思いました。
      では、髙松様、もしミズナラを見に山や深い自然の中に入られる際は、安全には十分にお気を付けいただき、幸せが感じられるような充実した時間を過ごされること心から願っております。重ね重ね、この度は当ブログの記事にコメントしていただき誠にありがとうございました。お返事が大変遅くなってしまいまして申し訳ありませんでしたが、髙松様の疑問の解消に少しでもお力になれていたなら幸せです。