雨畑湖

ここ八ヶ岳南麓にある山梨県北杜市清里からほぼ南、直線距離にして約56kmほどのところに「早川町(はやかわちょう)」はあります。

早川町は山梨県の南西に位置し、山梨県の中では一番西に位置している町です。北部・西部を南アルプス(赤石山脈)、東部を櫛形山系、南部を身延山地に囲まれた山間地域で、面積の約96%は山林となっています。急峻な地形に集落が点在し、町のほぼ中央を町名の由来にもなった富士川の支流「早川」が流れています。

今回は、この自然豊かな早川町の奥、硯(すずり)で有名な「雨畑(あめはた)地区」にある「雨畑湖(あめはたこ)」をご紹介させていただきたいと思います。

湖に注ぐ雨畑川の上流側を望んでいます。先に見える山々は南アルプスこと赤石山脈で、写真右側に写っている大きな山の遥か奥には標高3013m「聖岳(ひじりだけ)」がある方向です。

雨畑湖「正式名称:雨畑ダム(あめはたダム)」は富士川水系早川支流雨畑川にある民間企業所有のダムで、アルミニウム製造の電力確保のため発電専用のダムとして建設されました。発電された電気は静岡県静岡市の製造所に送られアルミニウムの精錬に使われています。

雨畑ダムは「アーチ式コンクリートダム」という、主にコンクリートを主要材料として使用し、アーチ止水壁にかかる水圧を両側面の岩盤で支える型式のダムです。上空から眺めると河川を横断する堤体が弧を描くように見え、とても美しい外観として人気のある形状です。

アーチ式コンクリートダムは、主に強固な岩盤を有する渓谷に建設され、雨畑ダムも地形上の理由からこの型式が採用されました。この型式を採用しているダムとして富山県の「黒部ダム」があり、日本最大のアーチ式コンクリートダムとして有名です。

湖の流れの下流側を望んでいます。ここを起点にして見たとき、この後の流れは向かって左から右へとS字を描くように曲がり、間もなくダムの堤防へと至ります。

雨畑湖のみどころのひとつに、湖の対岸を約120mでつなぐ大きな「吊り橋」があり、ツアーのコースにも組み込まれていたりします。

しっかりと張られたワイヤーの堅牢なつくりになっていますが、人が歩く振動でゆっくりと揺れます。また、歩ける部分が木の板張りになっていて、その隙間から真下に湖面が見えたりするので、人によってはかなりの恐怖を感じるかもしれません。

手すりとなる部分の高さも十分あり、サイドはネットで保護されていて、床もふいに転落するような隙間の大きさはないので危険はほぼありません。しかし、被膜でカバーがされていない箇所のワイヤーがささくれている可能性がありますので、手で触る際は十分にお気を付けください。また、この橋の定員は5人と言われていますので、焦らず、急かさず、ゆっくり無理せず楽しみましょう。

早川町雨畑地区の雨畑湖では毎年8月15日に「雨畑湖上祭」が開催されています。早川町のホームページではこのような紹介がされ、その魅力と意気込みがひしひしと伝わってきます。

“こちらの目玉はなんといっても花火。湖面に映るナイアガラ、爆発音が幾重にも反響しあい迫力満点の尺玉、最後は頭の真上で花火100発の乱れ打ち。普通の花火大会なんかとても目じゃない、山里ならではの大迫力の光のスペクタクルをぜひ一度ご覧下さい。”

雨畑湖は、南アルプスの一端であることが感じられる厳しい地形の中にありながら、ゆったりとした水の音、光や見る角度によってミルキーブルーに輝く湖の色、豊かな自然と、とても癒される空間が迎えてくれます。山梨県早川町への観光の際にはぜひ足を運んでいただけたらと思います。

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