雲の先の甲斐駒ヶ岳 [竹宇駒ヶ岳神社~黒戸尾根ルート](1話 / 全4話)

当記事の投稿日からちょうど5年前となる2012年9月1日と2日の土曜日と日曜日を利用して、テント泊で甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)という山に登って参りました。

当日の天気は、晴れ。しかしこれはあくまで平地の天気で、登れば登るほどに、雲の中に入り、湧き立つ雲の中を歩くような状況でした。

山頂までの道中、絶景といえるような風景には恵まれませんでしたが、そんな天候だからこそ味わえる幻想的な雰囲気など、とても貴重な経験をさせていただきました。

当日は、山梨県北杜市白州町にある竹宇駒ヶ岳神社(ちくうこまがたけじんじゃ)」から出発し、日本三大急登のひとつとして有名な黒戸尾根(くろとおね)ルートを使わせていただきました。

このルートの特徴として、登山口から山頂までの標高差が約2200mにも及ぶことから、日本でも有数の体力を要するルートとして知られています。

黒戸尾根ルートの登山口は2つあり、ひとつが竹宇駒ヶ岳神社、そしてもうひとつが横手駒ヶ岳神社(よこてこまがたけじんじゃ)です。

2つの登山口の2つともが神社であることからもわかるように、甲斐駒ヶ岳は古くから信仰の対象として大切にされてきました。山頂に至る登山道には現在も信仰にまつわる多くの石碑や石仏が残っています。

当時の甲斐駒ヶ岳の旅を、全4話に分けて紹介させていただき、第1話目の今回は、竹宇駒ヶ岳神社から5合目少し手前にある黒戸山の刀利天狗(とりてんぐ)というところまでをお送りします。日本屈指の名峰といわれる甲斐駒ヶ岳の旅をお楽しみください。

第一話:竹宇駒ヶ岳神社~刀利天狗

尾白川渓谷・十二曲り

竹宇駒ヶ岳神社を出るとすぐに、日本名水百選尾白川(おじらがわ)にかかる吊り橋を渡ります。その後、尾白川沿いの渓谷道と別れ十二曲りという急斜面をジグザグに登る場所に入り一気に高度を上げていきます。

笹ノ平

竹宇駒ヶ岳神社から標準タイムで約2時間30分の場所にある笹ノ平(ささのだいら)に到着しました。ここは「竹宇」「横手」2つの登山口からの合流地点になってます。この後、八丁坂(はっちょうざか)という長く厳しい上り坂が再びはじまります。

八丁坂

前屏風ノ頭

標高差約250mほどの八丁坂を上りきると、平坦地が現れます。ここが前屏風ノ頭(まえびょうぶのあたま)と呼ばれる場所ですが、標識や看板などの案内はないため、なんとなくその場所を実感する感じになります。ここで標高は1881mになります。

刃渡り

前屏風ノ頭を過ぎると刃物のように切り立った場所が現れます。ここが刃渡り(はわたり)と呼ばれる場所です。本来は難所として知られる場所ですが、鎖も取り付けられおり、足場もしっかりしているので、注意して行けば問題なく通過できます。

刃渡り以降は景色が開け、晴れていれば、高度感のある登山道を楽しめますが、下が真っ白な世界も底知れない高度感があります。晴れていればこの方向に鳳凰三山のひとつ地蔵岳のオベリスク、そしてその奥に富士山を望める場所です。

刀利天狗

刃渡りの後、いくつかの連続した梯子(ハシゴ)を上ると第1話の目的地・刀利天狗(とりてんぐ)に到着です。竹宇駒ヶ岳神社から標準タイムで約4時間30分、標高2049mの場所になります。石碑と祠のたつとても神聖な雰囲気の場所でした。

“大昔、刀利天狗は日本の真ん中に富士山より高い山が欲しいと考えて、富士山の頭をちぎって御嶽山の頂に乗せようとした。ところが休んでいるうちに朝になってそのまま逃げ出したので、ちぎった富士山の頭は三笠山になった。”

三笠山(みかさやま)は、木曽御嶽山の王滝口七合目にある山で、山頂には三笠山神社刀利天宮)が鎮座しています。つまり甲斐駒ヶ岳の刀利天狗はその分身であり、御嶽信仰の修行の場所として大切にされてきた場所でもあったのです。

第一話:竹宇駒ヶ岳神社~刀利天狗 [おわり]

甲斐駒ヶ岳の第1話、竹宇駒ヶ岳神社から刀利天狗までの道のりはいかがだったでしょうか?厳しい道のりの中に、晴れでは味わえない幻想的な雰囲気だったり、信仰の山としての神秘的な空気感がありました。

< 第2話へつづく >

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