大いなる翼を広げ ~旅する蝶「アサギマダラ」~

みなさまは「アサギマダラ」という蝶をご存知でしょうか?

日本の「国蝶」として知られる蝶は「オオムラサキ(大紫)」ですが、実は、日本昆虫学会による国蝶選定の際に「ナミアゲハ(並揚羽)」や「アオスジアゲハ(青条揚羽)」等と共に候補に挙がっていた蝶でもあります。

アサギマダラは、渡り鳥のように季節によって長距離を移動する習性を持つことから「旅する蝶」として知られ、その移動距離は2000kmを超す例も確認されています。また、2000年には台湾から日本へ、翌年には日本から台湾への移動例が見つかり、海を越えて移動していることも確認されました。

“ 定期的に国境と海を渡ることが標識調査で証明された蝶は、世界に1種しかいない ” とのことです。しかし、アサギマダラがなぜ季節移動をするのか?また、小さな体でどうやって飛ぶ方向を決め、海を渡って長い旅をするのか?さまざまな調査や研究が進み、多くの知見が集積された今も、謎に包まれています。

アサギマダラという和名は漢字で「浅葱斑」と書きます。これは、その美しい羽の色に由来しています。「浅葱(あさぎ)」とは、現在では明るい青緑色を指す古称ですが、もともとは葱藍(たであい)で染められた薄い藍色のことで、薄い葱の葉にちなんだ色です。平安時代にはその名が見られる古くからの伝統色です。

アサギマダラの寿命は羽化後4〜5カ月と言われていますが、先日、ここ清里に辿り着いたアサギマダラさんは、長い旅をこの地で終えたようです・・・

・・・と、言うより新たな旅に出たとも言えますね。

余談ですが、電機メーカーの「SHARP(シャープ)」から発売されている扇風機(リビングファン)の羽根は、超長距離を旅するアサギマダラの羽から「省エネ」と「なめらかな風」のヒントを得て開発されたとのことです。

ただし、現在発売されている第二世代のものは、アサギマダラとアゲハの形状を応用したハイブリッドになっているとのことですが・・・

私はシャープの回し者ではありませんが、性能その他もろもろを抜きにして、その扇風機の羽根の形状は凄まじくカッコイイです。

アサギマダラの羽のように、今の人間ではまだ到底辿り着けないような「能力」や「機能美」や未知のヒントが自然界にはたくさんあって、これからも人間は大いなる自然から学んでいけることがたくさんありそうです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする