過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。
そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。
6日目 第二話
世界最大級のカルデラ地形を形成する熊本県「阿蘇山(あそさん)」。
そのカルデラ地形の一部である外輪山の中でも南側に位置している「阿蘇南外輪山(あそみなみがいりんざん)」を、西端の「俵山(たわらやま)」からまずは南、そして南東へと反時計回りに縦走(往復)する6日目の旅をお届けしています。
第二話目となる今回は「冠ヶ岳(かんむりがたけ)」です。冠ヶ岳は、前回第一話で登頂した「俵山」の山頂から登山道を南に約4kmの距離の山です。また、今回利用させていただいた登山口「俵山峠展望園地」からは約7kmほどの距離になります。
しかし、冠ヶ岳のピークハントを目的とした登山であれば、冠ヶ岳から南東に約3kmの場所に「地蔵峠(じぞうとうげ)」という駐車スペース付きの登山口があり、アップダウンもかなり少ないことから多くの人に人気のコースになってます。
下記写真は俵山から南へ進み振り返って見た風景になります。正面に見えてる山が俵山になりますが、現在地と俵山の間を繋ぐ登山道で一番低くなっている場所が標高898m「護王峠(ごおうとうげ)」と呼ばれる場所です。
冠ヶ岳の山頂に到着しました。
冠ヶ岳からの風景もまたとてものどかで、起伏の少ない安心して歩ける周辺の登山道と同様に、どこかほっとさせてくれるものがあります。
南東方面、ずっと続いていくかのように阿蘇南外輪山の山々が見えていますが、ここからの登山道は森の中を進むような場所が多くなり、雰囲気が変わるのもおもしろいです。
「地蔵峠」は、5日目に到着した「俵山峠」と似ていて車やバイクで来られる舗装された道路のそばにありながら、展望が良く、駐車スペースも用意されています。地蔵峠には約8台(小さめのもの6台分+大きめのもの2台)の駐車スペースがあり、当時は、バイクで来たであろう格好の人で賑わっていました。
誠に申し訳ありませんが、地蔵峠の少し先辺りからは前述したように、森の中を駆け抜けるような道が続いているため、まさにドイツを代表する自動車・自動二輪・エンジンメーカーである「BMW」が使用しているキャッチフレーズのようで、ただでさえ少ない写真がさらに少ない区間でもあります。そう、この道はまさに・・・
「駆け抜ける歓び」
その後、さらに突き進み「駒返峠」「多津山峠」と越え、標高1000mの「天神峠」まで来たところで折り返しとなりました。
写真が残っていなくて重ね重ね本当に申し訳ないのですが、そこは木々に囲まれていて案内板がひっそりと立っている場所でした。
天神峠までは登山口から片道約19kmほどの道のりとなり、折り返し後も順調に安全登山をさせていただき、無事夕暮れ前までに余裕を持って下山することができました。
阿蘇南外輪山を旅していると横目に都度見られる、火山の煙立つ中央火口丘。そんな中央火口丘を形成する5つの主要な山を総称して「阿蘇五岳(あそごがく)」と呼ばれますが、その山の迫力はものすごい引力をもっています。
当時この旅の中、四国において讃岐平野の「飯野山(いいのやま)」に登ったのと同じように急きょではありましたが、7日目は狭義において「阿蘇山」と呼ばれる山(※1)、阿蘇山の中央火口丘に行くことに決めたのでした。
※1)広義においての阿蘇山は外輪山を含む一帯を指す。
理由は「そこに山があるから」ならぬ「そこに阿蘇があるから」なのでした(笑)
7日目第一話へつづく。