四国・九州を巡る旅 7日目 第一話「楢尾岳」

過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。

そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。

7日目 第一話

四国・九州を巡る旅は5日目から「阿蘇山(あそさん)」へと舞台を移しました。

続く6日目は「阿蘇南外輪山(あそみなみがいりんざん)」の西側に位置している「俵山(たわらやま)」「冠ヶ岳(かんむりがたけ)」を経て、いくつか存在している峠を越えながら、反時計回りに片道約19kmの往復となりました。

ちなみに、6日目のその後は「南阿蘇温泉センター ウィナス」という所で温泉に入らせていただきました。この温泉のおすすめポイントは「一般社団法人 みなみあそ観光協会」のホームページでも以下のように紹介されています。

“ 露天風呂からは、南外輪山を一望でき、眺めは最高です!!新たに内湯には、従来の檜風呂から、スーパーマイナスイオン陶板浴へリニューアル!!天然の温泉とスーパーマイナスイオンがリラックス効果を高めます。ぜひご体験ください。 又、露天風呂の一角には寝湯を設け、体にかかる水圧も少なく、心身ともにリラックスでき、長い時間入浴が楽しめるようになっております。 ”

7日目となる今回は広大なカルデラ地形を形成する阿蘇山の中の「中央火口丘(ちゅうおうかこうきゅう)」、狭義において一般に「阿蘇山(あそさん)」「阿蘇五岳(あそごがく)(※1)」と呼ばれ親しまれている山々の旅です。

※1)阿蘇山のカルデラ内部に出来た中央火口丘郡のうち、その中核を成しほぼ東西に一列に並ぶ「根子岳(ねこだけ)」「高岳(たかだけ)」「中岳(なかだけ)」「杵島岳(きしまだけ)」「烏帽子岳(えぼしだけ)」の五峰を阿蘇五岳と呼ぶ。

そんな阿蘇五岳への登山口としては「仙酔峡(せんすいきょう)」を2つの理由から使わせていただきました。

ひとつは、「仙酔峡ロープウェイ(※2)」が通っており、その真下に非常に歩きやすい道が通っていたこと。ひとつは、「仙人が酔うほど美しい渓谷」であることからそう呼ばれるようになったと言われる名前の美しさに惹かれたことからでした。

※2)2010年(平成22年)5月2日以降、運行が休止されている。

仙酔峡は阿蘇五岳の最高峰「高岳」の北麗、標高約900m付近に位置している渓谷です。仙酔峡ロープウェイの駅や、阿蘇の自然等を紹介するインフォメーションセンターがあり、阿蘇五岳の高岳・中岳への拠点としても知られています。

当時(現在も)、動いていないロープウェイの頂上駅でご来光を見て下山する予定で上り始めました。当然、登山開始時の周辺はまだ暗くライトの灯りを頼りにひたすら進みました。広く歩きやすい登山道のおかげもあり思いのほかサクサク進むことができ、無事、ご来光前に頂上駅付近の見晴らしの良い地点に到着できました。

5時20分。夜の帳(とばり)が徐々に上がる中、地平線が美しく輝きます。

実は、左奥に見えている山は大分県「九重連山(くじゅうれんざん)」です。

4日目に旅させていただいたこともあり、とても感慨深い風景でした。

左の山が「杵島岳(きしまだけ)」、右の山が「往生岳(おうじょうだけ)」です。

その往生岳の手前、流れる雲が絹糸のようにとても美しい風景をつくっています。

阿蘇山の火口からは絶えず煙が上がっていました。

5時24分。ご来光のあたたかな光がとどきます。

当時、仙酔峡ロープウェイの山頂駅から先、中岳への道、火口東展望所への道、火口の西側へ回り込む道と、すべての道が規制のため閉鎖されていて進むことができませんでした。これは安全のため必ず守るべきことであって仕方ないことなのですが、そんな中で、山頂駅からすぐ近く、高台となっていて上ることができた場所がありました。

ありがたいことに、その場所でご来光を見、上記のような美しい風景の数々を写真に収めることができたのですが、後々、その場所が「楢尾岳(ならおだけ)」と呼ばれる山の山頂であることを知ったのでした。楢尾岳の山頂付近、朝日が、切り立つ斜面を美しく染めています。右奥に見えている山は九重連山です。

楢尾岳の指標。その上に月が輝いていました。

左奥に連なる稜線には、阿蘇五岳のひとつである中岳が見えています。

楢尾岳:1331m

そして、ご来光の右側に見えていたとても美しいシルエットの中に「仙酔尾根」と呼ばれる場所があります。

ここには切り立つ凄まじい角度の登山道が、仙酔峡登山口を起点として続いており、別名「バカ尾根」とも呼ばれています。

当時は、阿蘇五岳の中岳、そして阿蘇五岳であり阿蘇山最高峰の高岳へと仙酔峡から辿り着く唯一の道でもありました。

第二話では下山しながら、仙人酔いしれる「仙酔峡」の風景をお届けします。

7日目第二話へつづく。

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