四国・九州を巡る旅 7日目 第二話「仙酔峡」

過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。

そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。

7日目 第二話

阿蘇山の中央火口丘にある「楢尾岳(ならおだけ)」は、北側斜面に位置する「仙酔峡(せんすいきょう)」という渓谷を上りきった標高1331mの場所にあります。

その山頂に立った時、世界最大級と称されるカルデラの風景はそれ自体で本当に素晴らしいものでしたが、この旅一番の青(空)が最高の彩りを添えていました。

楢尾岳:1331m

阿蘇山の火口は、ここ楢尾岳の山頂からは南西側に見られます。

阿蘇山の中央火口丘、西側の山々です。左が「杵島岳(きしまだけ)」、右が「往生岳(おうじょうだけ)」です。杵島岳は阿蘇五岳のひとつです。

杵島岳:1326m   往生岳:1238m

この場所からは北側の「阿蘇外輪山(あそがいりんざん)」が見られます。また、外輪山とここ中央火口丘の間の凹地に広がる街並みは熊本県「阿蘇市」になります。

眼下に広がる「仙酔峡(せんすいきょう)」。

阿蘇五岳の「中岳(なかだけ)」と「高岳(たかだけ)」の北麓にある、阿蘇山が噴火した際の溶岩流が形成した渓谷は、仙人がその美しさと香りに酔ったという約5万株もの「ミヤマキリシマ」が咲き乱れることで有名です。

これからここを下ってまいりたいと思います。

仙酔峡には当時、少ない水量ながらとても清らかな水が流れていました。下記写真はそんな水が約6mの落差で流れ落ちる滝です。滝壺となっている水面(みなも)が穏やかすぎて鏡のようにきれいでした。ちなみに、ここは厳冬期になると滝が凍りつき、同じ場所とは思えないほど迫力を放つ白い氷柱が出来上がります。

仙酔峡を下るとき、その美しい風景とともに、圧倒的な存在感で切り立つ「仙酔尾根(せんすいおね)」を右手に見られます。同時に、別名「バカ尾根」とも呼ばれているほどの場所である仙酔尾根の登山道を上る人の姿が小さく見られます。

このとき阿蘇五岳の「中岳(なかだけ)」、阿蘇五岳であり最高峰の「高岳(たかだけ)」に仙酔峡から向かう唯一のルートがこの仙酔尾根となっており、楢尾岳からの下山後は、軽自動車という名の「ベースキャンプ」で装備を変更・整え直し、今度は仙酔尾根ルートからのアタックとなりました。阿蘇山の旅は最高峰へとつづきます。

7日目第三話へつづく。

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