四国・九州を巡る旅 7日目 第三話「中岳」

過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。

そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。

7日目 第三話

「阿蘇山(あそさん)」の中央火口丘を旅する7日目の旅は、ご来光を求めて「仙酔峡(せんすいきょう)」の登山口から「楢尾岳(ならおだけ)」へ。この間、今は動いていない仙酔峡ロープウェイに沿うように上る登山道を使わせていただきましたが、山頂駅から先の登山道は当時、規制により全て閉鎖されていました。

その美しさから仙人も酔いしれると言われる仙酔峡の風景を楽しみながら、一旦登山口まで下山。その後、装備を整え直し別ルート「仙酔尾根」から阿蘇五岳の「中岳(なかだけ)」「高岳(たかだけ)」を目指します。高岳は阿蘇山の最高峰です。

仙酔尾根は別名「バカ尾根」とも呼ばれるほど凄まじい角度で上るルートでありますが、実際に上ってみると高度なクライミング技術が必要な場所はありません。

しかし、仙酔尾根上ではありませんが、楢尾岳や仙酔峡などから眺めた時、鋸(のこぎり)の刃のように切り立って見えていた部分は「虎ヶ峰」「鷲ヶ峰」「竜ヶ峰」という名前がついている場所で、「九州の谷川岳」と呼ばれるほど危険な場所です。

下記写真は北北東方面を望んでいます。北側の外輪山の遥か先には、この旅の4日目でお世話になった「九重連山(くじゅうれんざん)」が見えています。

そこから少し左に視線を移すと、眼下に仙酔峡が見られます。良く見ると緑の屋根の仙酔峡ロープウェイ始発駅と仙酔峡インフォメーションセンター、大きな駐車場も見えています。その先に広がる阿蘇市の街並みと外輪山が織りなすカルデラが本当に見事です。

仙酔尾根を上りきるとそこは稜線上になり、登山道は一気に緩やかになります。「中岳」「高岳」は稜線に出てすぐの分岐を西(右)へ向かうのですが、まずは東(左)にある「高岳東峰(たかだけとうほう)」を目指します。

仙酔峡からこの分岐までは、標準タイムで約2時間ほどです。

分岐から約15分。阿蘇山最高峰・高岳の「東峰(とうほう)」に着きました。

下記写真は東峰に立ち、ほぼ完全な東方面を望んでいます。標高1580mの展望はすばらしく、ここからは、阿蘇五岳のひとつでありその中でも一番東に位置している「根子岳(ねこだけ)」がとても美しく見られます。

根子岳:1408m

下記写真の奥に見えている外輪山は南側のものになります。「中岳」「高岳」に向かう登山道はこの場所から西(右側)へと進んでいきます。

南向きに切り立つ斜面、そこに面する広い凹地は「大鍋」と呼ばれる場所で、大昔の火口のひとつです。良く見るとそこに「月見小屋」という避難小屋が見えています。

「高岳東峰」の西には「エアーズロック(※1)」のような場所があり、登山道はここを回り込むように通っており右手に見ながら進みます。

※1)エアーズロックはオーストラリア大陸にある世界で2番目に大きい一枚岩で、イギリスの探検家によって名づけられた名称である。先住民であるアボリジニによる呼び名は「ウルル(Uluru)」。1987年にユネスコの世界遺産(複合遺産)に登録された。

前述したエアーズロックを通り抜け、振り返ると下記のように見事な大自然の造形を見ることができます。ここは「天狗の舞台」と呼ばれている場所です。

高岳東峰、高岳、中岳などを結ぶ稜線は仙酔尾根とはうってかわってとても歩きやすい場所が多いです。天空を歩くような道からの風景は本当にきれいです。

とはいえ、植物の根付くことを許さない地獄のような大地や、白い龍が立ち昇る巣(火口)など、この世のものとは思えないくらい迫力ある風景も隣り合わせです。

阿蘇五岳のひとつ「中岳」に到着しました。ここから火口側にある「火口東展望所」や、第一話で行った「楢尾岳」へは規制で進むことはできません。

なので当時、阿蘇山を歩いた中では、ここが火口を一番近くでみられた場所でもあったのですが、この後、火口の縁を南側に進む道を歩いてみました。

その時の風景と、阿蘇山最高峰「高岳」は次回、第四話でお届けいたします。

中岳:1506m

7日目第四話へつづく

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