過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。
そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。
8日目 第二話
四国・九州を巡る旅の8日目は福岡県の北部にある「福智山地(ふくちさんち)」を北から南へ縦走(往復)する旅をお送りしています。
前回では「音滝山釈王寺(いんたきさんしゃくおうじ)」、通称「畑観音」と呼ばれるお寺の近くの「千本桜展望駐車場」からスタートし、距離にして約4km、標高差にして約400m上ったところにある、標高608m「尺岳(しゃくだけ)」に到着しました。
次の目的地である福智山地の主峰「福智山(ふくちやま)」はここからさらに南に約5km進んだ場所にあります。「九州自然歩道(※1)」上にある登山道は美しい自然林に囲まれ、とてもゆったりとした場所の多いコースです。とはいえ標高901mの福智山までは、標高差だけでも300m近く上げており、時折、厳しい登りも存在しています。
※1)九州自然歩道は、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県の九州7県にまたがる総延長2936.9kmの長距離自然歩道である。愛称「やまびこさん」。環境庁(現・環境省)の長距離自然歩道構想に基づき、東海自然歩道に次いで2番目に整備された自然歩道、1980年(昭和55年)に全線が開通した。
起点と終点は福岡県の北九州国定公園「皿倉山(さらくらさん)」にあり、鹿児島県の霧島錦江湾国立公園(きりしまきんこうわんこくりつこうえん)「佐多岬(さたみさき)」を最南端として九州を一周しているため、どの場所からスタートしてもその場所に帰ってくることができる。案内板などに描かれるシンボルマークは「かたつむり」。
そんなアップダウンを繰り返しながら、登り基調の道を進むときれいな三角型の山が見えてきます。これが「福智山」です。しかしながら実は、前回ご紹介させていただいた「尺岳」の写真を見ていただいても分かると思うのですが、当時、空が少し白くガスっていて福智山に近づくにつれ雲の中に入っていくような状態でした。
案の定、辿り着いた福智山の山頂は濃い霧の中にいるようで風景を見渡すことはほぼ皆無。福智山地の主峰であり主役なので本来ゆっくりしたい場所ではありましたが、このような状態だったのもあり(カメラのバッテリーも限界だったので)、素通りにて次の目的地に進みます。(笑)
次の目的地は、福智山からさらに南に3km、標高791mの「赤牟田の辻(あかむたのつじ)」という場所です。
標高差だけで見ると福智山から約200m以上、下げてきていますが、実はこの「赤牟田の辻」直前に凄まじい直登(※2)の上りがあり、まさに上級者用のスキーゲレンデを逆走するかの様相です。よく山にある厳しい上りを「胸突き八丁」などと表現されますが、まさにそれです。(笑)
※2)直登(ちょくとう)(ちょくと)とは、斜面をつづら折りではなく、直線的に登っていく登り方または登山道の形態。
そんな厳しい上りを越えた場所が標高791m「赤牟田の辻」というピークです。
良く見ると真正面にきれいな三角の山容をした福智山が見られます。少し薄くはなりましたが、山頂付近はガスっているのもお分かりいただけると思います。
当時ここはとても良いお天気で、今まで四国・九州で旅してきた山の中では一番暑かったのを記憶しています。福智山地の旅は、ここからさらに南にある「牛斬山(うしきりやま)」を目指して進み、そこで折り返しとなります。
度々申し上げているように、当時、8日目を迎えたカメラのバッテリーが限界だったもので写真は非常に少ないですが、どうぞ次回も九州自然歩道の旅をお楽しみくださいませ。
8日目第三話へつづく。