八ヶ岳の断崖に揺れる一華(ひとはな) -ハクサンイチゲ- (花期:6月~8月)

代表的な高山植物として知られ、6月から8月にかけての高山に、白く輝くように咲く黄色い花があります。

それが、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草「ハクサンイチゲ(白山一花・白山一華)」です。

“ 白く輝くように咲く黄色い花 ”

そう表現させていただいたのは、白い花弁(=はなびら)に見えている部分は実は萼弁(=がく)だからです。

花は、5~7枚の白い萼弁の中心に、黄色い雄しべが密集し、緑の雌しべとで成り立っています。

ハクサンイチゲという和名の由来は、「白山(はくさん)」という山で発見されたことに由来しています。白山は石川県白山市と岐阜県白川村にまたがる標高2702mの山で「富士山」「立山」と並んで日本の三大霊山として知られています。

霊峰・白山を意味する「ハクサン」、白山の御山(おやま)を意味する「オヤマ」、白山の御前峰(ごぜんがみね)を意味する「ゴゼン」とその名前に、白山を意味するものが冠されている植物は20種類にもおよびます。

これは、古くから信仰の山として大切にされてきた中で、早くから植物の研究も進んだことに由来しています。

雪解け後の雪渓や高山帯の湿った草原に大きな群落をつくり「お花畑」と呼ばれる高山植物の群生地を形成することもあり、一面に咲き乱れる光景は大変美しく「百花繚乱」ならぬ、まさに「一花繚乱」。

ハクサンイチゲの学名は Anemone narcissiflora 。属名の Anemone はギリシャ語の「anemos(風)」、種小名の narcissiflora は「Narcissus(スイセン属)のような花の」を意味しています。

↓八ヶ岳の断崖に揺れるハクサンイチゲ。「幸せを招く花」と呼ばれています。

断崖の左奥に見えている山は八ヶ岳最高峰・赤岳。真ん中の岩間に見え美しいピラミッド型を形成している山は名峰・甲斐駒ヶ岳です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする