岩に咲く黄色の可憐 -ミヤマダイコンソウ- (花期:7月~8月)

山は高地になればなるほどに、空気は薄く、気温は低く、地形も厳しさを増し、多くの動物や植物、私たち人間にとっても暮らしていくのには、低地に比べて極めて厳しい環境となっていきます。

しかし、そんな厳しい環境の中にも根を張り花を咲かす植物があり、それは、一般に「高山植物」と呼ばれています。

高山植物の花は総じて、大きくもなく派手でもないものが多いですが、園芸植物には無い魅力であふれています。

今回は、そんな高山植物のひとつ「ミヤマダイコンソウ(深山大根草)」をご紹介させていただきたいと思います。

ミヤマダイコンソウは、バラ科ダイコンソウ属の多年草で、亜高山帯から高山帯の砂礫地や岩礫地に生息する高山植物です。

ミヤマダイコンソウは耐寒性の植物ですが、もともとダイコンソウ属の植物は温帯と冷帯を中心とした世界の広い範囲に分布しています。

「ダイコンソウ(大根草)」という名前の由来は、ロゼット(※1)が大根に似ているため、このような名前が付いたといわれています。

※1)ロゼット(根生葉=こんせいよう)とは、植物の葉の形態の一種で、地上茎の基部についた葉のことをいいます。地中の根から葉が生じているように見えますが、実際は、非常に短い茎を持つ種であり、そのような外観から根生葉と呼ばれています。良く知られるものとして「タンポポ」の葉がそのようになっています。

ダイコンソウは、中国と日本で貧血やむくみに使う薬草として知られ、また生の葉は打ち身の時の外用薬として使われました。

↓岩の上に黄色い花を咲かせるミヤマダイコンソウ。

草丈は10cm~30cmほどになり、花は直径1.5cm~2cmほどになります。黄色い5弁の花びらは先端がわずかにくぼんでいます。葉は直径2cm~12cmほどで、全体的に丸く端がギザギザとした鋸歯となっており光沢があります。

花期は7月~8月です。

↓今回ご紹介させていただいたミヤマダイコンソウはこのような場所に生息しています。

撮影地は八ヶ岳の「硫黄岳(いおうだけ)」。眼下にある青い屋根の小屋は、八ヶ岳の南北に連なる稜線上にある「夏沢峠(なつざわとうげ)」の「ヒュッテ夏沢」です。硫黄岳は標高2760m、夏沢峠は標高2440mです。

高山植物の花は総じて、大きくもなく派手でもないものが多いですが、それでも多くの人を惹きつけるその魅力は、「こんな場所にも咲いてるんだ!? ΣΣ(゚д゚lll)」なんて驚かされるような厳しい環境にも、根を張り花を咲かせているという点にもあると思われます。

とくに、このミヤマダイコンソウは、風が強く当たる場所にも生育すると言い、小さく可憐な姿をして、なかなかの強靭です。

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