庭を彩るピンクの絞り模様 -サクラウツギ- (花期:5月~6月)

中央アルプスに「空木岳(うつぎだけ)」という名前の山があります。

中央アルプスは本州の中央部を南北に連なる山脈で、長野県の木曽谷と伊那谷に跨るようにそびえ、また、それらの谷に流れる木曽川と天竜川に挟まれた山脈でもあります。

中央アルプスは日本の代表的な山脈のひとつで、「飛騨山脈(ひださんみゃく)」通称:北アルプス、「赤石山脈(あかいしさんみゃく)」通称:南アルプスと共に、「日本アルプス」と称されています。

そんな中央アルプス上にあり、深田久弥氏の「日本百名山」に選定された山は2つ。ひとつは最高峰「木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)」、そして、もうひとつが「空木岳(うつぎだけ)」なのです。

実は、深田久弥氏が「日本百名山」を執筆する際、木曽山脈南半分からひとつを選ぼうとして「南駒ヶ岳」と「空木岳」とで迷った結果、最終的にはわずかに標高が高いこと、そして山名の美しさから空木を選んだのでした。

そんな美しい山名の由来にもなっている一説が「ウツギ(空木)」という植物です。ウツギは、アジサイ科(ユキノシタ科で分類される場合もあります)ウツギ属の落葉低木です。

本来、ウツギは白色で5枚の花弁をもつ一重咲きですが、現在、白色以外のものや八重咲きのものなど様々なウツギが存在していて、私の家の庭に住んでいるウツギは、このように美しいピンクの絞り模様で彩ってくれます。

これは、「サクラウツギ(桜空木)」という品種のウツギです。

見た目もとても美しいのですが、「桜空木」という名前もまた美しいです。ウツギ(空木)という名前の由来は、茎が中空になっていることに由来しており、柔らかいサクラウツギの木が風に良く揺れながらたたずむ姿は、本当に可憐です。

また、ウツギの花のことはその頭文字をとって「卯(う)の花」とも呼ばれ、初夏の風物詩とされてきました。 旧暦の4月を卯月(うづき)と呼ぶのは「卯の花の咲く季節」という意味であるとされています。

このサクラウツギは、ここ八ヶ岳南麓の標高約1270mでも元気に生きているように耐寒性の強さはこの花を以って証明済みで、耐暑性までも強い植物だといわれています。強くありながらどこか優しさや「気品」ただようその姿は、そのまま花言葉にもなっています。

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