秋のクリスマスツリー -ツリバナ-

2018年の台風がもたらしたもの

2018年(平成30年)9月21日に発生し、日本列島を沿うように直撃・通過していった台風24号は、日本各地に甚大な被害を及ぼしました。

この台風以前の2018年(平成30年)8月28日に発生し9月4日に日本に上陸した台風21号は、25年ぶりに「非常に強い」勢力で上陸したこともあり、とくに近畿地方を中心に大きな被害を及ぼしました。

関西国際空港の機能が停止するほどの被害をはじめ、各地の人が撮影した映像や、都度、ニュースで報道される被害状況は衝撃をもたらしました。

私の家でも庭のシラカバ(白樺)の木が根元付近から折れて倒れましたが、とはいえ、遥かに深刻な被害を受けられた方々は多く、心よりお見舞い申し上げます。

2018年は台風だけでなく地震や豪雨などの災害でも日本の各地に深い傷跡を残しており、被災された皆様には一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

前述した台風24号の特徴的な被害として「塩害(えんがい)」が挙げられます。

塩害とは

塩害とは、塩分に起因する植物や各種建築物・構造物への害の総称で、今回の台風24号が通過する際、最も雨風が強くなる進路の右側となった千葉県周辺では、太平洋の海水が大量に巻き上げられ、内陸部に降り注ぎました。

塩分が付着することによる被害は、その物体が急速に劣化したり酸化したりすることが挙げられます。

電線などにおける被害としては、塩水は雨水よりも遥かに電気を通しやすいため、絶縁している部分に塩水が付着すると、導電して漏電状態となってしまい、電気が供給できなくなります。これにより、送電線から火が出て電車が止まってしまったりしました。

農作物・植物などにおいては、塩分が付着した葉は脱水状態となるため、茶色く変色して枯れてしまいます。また、植物に付いてしまっただけでなく、土壌に塩が含まれてしまうと植物自体が生きていけない環境になってしまうため深刻な被害といえます。

この台風24号による塩害は、東京西部や埼玉など内陸部でもその被害が確認されており、場所によっては美しく色づくはずの秋の紅葉にも影響が出ています。

秋のクリスマスツリー

今回は、そんな不安な2018年の紅葉を迎える中、過去個人的に、色づくととても美しいと思った樹木のひとつである「ツリバナ(吊花)」をご紹介します。

なお、花期のツリバナについては別の機会にご紹介させていただき、今回は紅葉期のツリバナについて少しフォーカスさせていただきたいと思います。

世界を代表する紅葉の樹

「ツリバナ(吊花)」はニキシギ科ニシキギ属の落葉低木です。

この時点であることに気付いた方もいらっしゃるかもしれません。

分類の名前にもなっている「ニシキギ」の美しい紅葉は「ニッサボク」「スズランノキ」と並んで「世界三大紅葉樹」のひとつに数えられています。

ツリバナは、そんなニシキギの仲間なので、それだけでも、「紅葉が美しいわけだ・・・」と、妙に説得力があります。((φo(´・ω・`*)ナットク

秋を華やかに彩る

ツリバナの特徴として、その名前の由来になっている「花や実がぶら下がってできる」ことが挙げられます。個人的な見解ですが、色が鮮やかで無数に花や実がぶら下がってできる樹木はまさに、天然のクリスマスツリーのようにとても華やかです。

また、当記事の最初の写真のように、美しい紅葉のツリバナの近くに松があるなんて赤と緑のコントラストがとてもキレイで、完全にクリスマスカラーです。

とはいえ、ここ清里高原や八ヶ岳南麓地域の誇る「八ヶ岳ブルー」と呼ばれる鮮やかな青色の空とのコントラストも、負けず劣らず本当に見事です。

はじけそうな赤い実と花言葉

ツリバナの花言葉は「片思い」とのことで、揺れる可憐な花や、はじけそうな赤い実を、そんな思いになぞらえたものかもしれません (*´艸`*)ウットリ

そんな話をすると、とある時期に小学生を迎えていた方で、光村図書出版の国語の教科書を使っていた皆様は、そこに掲載されていた名木田恵子氏による「赤い実はじけた」という初恋を描いた小説を思い出す方もいるかもしれません。

とはいえ、ツリバナの赤い実は、簡単にはじけ落ちそうではじけないなかなかしぶといヤツです。そういう点でも意外と長く楽しませてくれるでしょう。

今回ご紹介させていただいた写真は過去10月中旬頃のもので、今年も同じように美しい紅葉が見られるかは分かりませんが、それでも、八ヶ岳南麓の紅葉は徐々に色付き見ごろを迎え始めています。

詫び寂びと日本人のココロ

変動が激しい昨今の異常な気候の中で、旬の食べ物であるはずのものがありえないくらい高騰したり、美しい風景に毎年完璧な状態で出会えるとはいえませんが・・・

収穫量が激減し高騰しているものを何としても食べようとしなくともその時に食べられる美味しいものはいろいろあったり、少し残念に思える風景もその年にしかない一期一会の風景として楽しんだり思い出にできたり・・・

一見完璧ではないものや出来事にも、美や繊細さ、重要な価値を見出そうとする日本人独特の感覚は、日本人として誇りに思えるくらい素敵だと思います。

今年の紅葉は、どんな彩りで楽しませてくれるでしょうか。

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