みずがき山のたぬきさん?

ここ山梨県北杜市は東・西・北の三方を「奥秩父山地」「南アルプス」「八ヶ岳」という大きな山脈・山塊に囲まれ、とても豊かな自然を有した地域になっています。

それだけに、貴重な植物や野生動物そして、そこに住む私たち人間を含めて多くの命を育んでくれる場所でもあります。なので、一歩自然の中へと足を踏み入れれば、そこは様々な出会いや発見であふれています。

自然豊かな「“東” アルプス」

北杜市の東側に位置する奥秩父山地(奥秩父山塊)はとても広い山域を持ち、最高峰「北奥仙丈岳(きたおくせんじょうだけ)」の2601mを筆頭に、2000m級の山々が多く連なっていることから、「北アルプス」「中央アルプス」「南アルプス」と並んで一部の関係者からは「東アルプス」とも称されているほどです。

また、奥秩父山地の自然もとても豊かで、大きな保水力を持った森林から染み出る清らかな水は、信濃川(しなのがわ)上流の「千曲川(ちくまがわ)」、富士川(ふじかわ)上流の「笛吹川(ふえふきがわ)」、「荒川(あらかわ)」、「多摩川(たまがわ)」という4河川の水源域としても知られています。

奥秩父山地の魅力は、そんな水の流れがつくりだす「渓谷の美」だとも言われています。また、山域の中に火山をあまり含まないことも特徴のひとつとなっています。

(とは言え、奥秩父山地の南西部に位置し以前に当ブログ「賢者の森」でも紹介させていただいた「茅ヶ岳(かやがたけ)」は約20万年前に活動していた火山です。)

そんな緑に包まれた奥秩父山地の中でひときわ異彩を放つ姿の山があります。

それが、「瑞牆山(みずがきやま)」です。

瑞牆山のご紹介は別の機会にさせていただき、今回は、この山で出会った可愛らしい住人のお話です。

あの日の・・・たぬき?

※「あの日の○○○」シリーズは、過去にあった、愛すべき出会いや思い出を、筆者独自の視点でご紹介しているシリーズでございます。(おかげさまで第十一回目)

まずは、瑞牆山で出会った可愛らしい住人の姿をご覧ください。

実はこの子、

「動画版(YouTube)賢者の森」の動画

【代わりに山いってきました/賢者の森】#7_瑞牆山-アズマシャクナゲの季節に-2[山梨]

の後半に一瞬ですが登場している動物です。

動画を見ていただいた皆様には、もしかしたら、その大きさ・風貌から「タヌキ?」「しかし何か顔が違うような・・・?」と思われた方もいるかもしれません。

その正体は、「ニホンアナグマ」というイタチ科アナグマ属という食肉類(食肉目またはネコ目)の動物で・・・名前はクマですが、もちろん熊ではありません。笑

日本では、本州・四国・九州の里山に生息しています。

食性はタヌキとほとんど同じで、ネズミや鳥や昆虫、穀物や木の実や果物、カエルやヘビといったものまで幅広く何でも食べているようです。とくにミミズやコガネムシの幼虫を好み、土を掘り出して食べているとのことです。

体型は見ての通り、ずんぐり、まるっとしていて、出会った時、私の存在に気付いていたのか気付いていなかったのか・・・目の前を、のそのそとゆったり横切って行って、チラ見して、またゆっくり歩いて森に帰っていきました。笑

その、あまりに警戒心の無い様子が、ものすごく可愛らしかったです。

実はこのたぬき・・・じゃなくてアナグマさん、「たぬき寝入り」する習性があるそうです。「たぬき寝入り」と言うのは、いわゆる「死んだふり」のこと。身の危険があった時、たぬき寝入りをし、薄目を開けて動かずにいるとのことです( ´≖ω≖`)

とは言え昔セオリーとされていた、私たち人間がクマに出会ってしまった時の対処法に「死んだふり」がありましたが、現在その対応は完全にNGと言われ「死んだふりをすると、好奇心旺盛なクマの興味を引き立てて触ろうとしたり、場合によってはエサと認識してしまったりする可能性もある(※1)」とのことです。

※1)朝日新聞出版AERA「死んだふりはNG プロに聞くクマ遭遇時の“神対応”」記事より。「国立研究開発法人 森林総合研究所」の大西尚樹主任研究員のお話から引用させていただきました。

以前、当ブログ「賢者の森」でも申しましたが、山や自然に踏み込めばそこは多くの植物や動物たちが暮らす場所でもあります。

そのため、多くの植生を傷めないことは前提ですが、自分自身が思わずクマに出会って自分も傷ついたりしないこと、そして、今回紹介したアナグマみたいな何でも食べちゃう食いしん坊が、誤って人間が出したゴミや残飯を食べないよう、ほんのちょっとした心がけではありますが、すごくすごく大切なことだと思っています。

地球は人間だけの世界ではないので、できる限り、共存していける配慮や気遣いをもって山に入っていただけたら、自分だけでなく森の住人もきっと幸せだと思います。

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