瑞牆山 -雪解けの季節に-

ここ山梨県北杜市は東・西・北の三方を「奥秩父山地」「南アルプス」「八ヶ岳」という大きな山脈・山塊に囲まれ、とても豊かな自然を有した地域になっています。

奥秩父山地と秩父多摩甲斐国立公園

北杜市の東側に位置する「奥秩父山地(奥秩父山塊)」は、群馬県・埼玉県・東京都・神奈川県・長野県・山梨県の1都5県に広がる広大な秩父山地の南西部の山域を指します。

日本アルプスに匹敵するような広い山域と、最高峰「北奥仙丈岳(きたおくせんじょうだけ)」の2601mを筆頭に2000m級の山々が多く連なっていることから、「北アルプス」「中央アルプス」「南アルプス」と並んで一部の関係者(当山域の山小屋関係者など)からは「東アルプス」とも称されているほどです。

また、奥秩父山地の大きな保水力を持った森林から染み出る清らかな水は、信濃川(しなのがわ)上流の「千曲川(ちくまがわ)」、富士川(ふじかわ)上流の「笛吹川(ふえふきがわ)」、「荒川(あらかわ)」、「多摩川(たまがわ)」という4河川の水源域としても知られ、とても豊かな自然を育んでいます。

この山域を中心とする、東西約70km、南北約40km、広さ126,259haは、国がその保護・管理を行う自然公園である「秩父多摩甲斐国立公園」に指定されています。

この公園の特徴は、森林美と渓谷美にあふれ、首都圏に最も近い山岳公園であることです。また、公園内に火山はひとつも含まれていないことも、火山の国・日本としては珍しい特徴となっています。

地理的には、東西の地域で大きく特徴が分かれ、東側の荒川・多摩川流域の大部分が堆積岩からなり、西側は花崗岩が広く分布しています。

堆積岩地帯には石灰岩層が含まれることから「日原(にっぱら)」や「養沢(ようざわ)」などの鍾乳洞が点在しています。

花崗岩地帯では、河川によって浸食された「西沢渓谷(にしざわけいこく)」や「御岳昇仙峡(みたけしょうせんきょう)」、浸食や風化によって残された花崗岩の岩塔そびえる「金峰山(きんぷさん)」「廻り目平(まわりめだいら)」、そして今回ご紹介する「瑞牆山(みずがきやま)」が、四季折々とても美しい景観を誇っています。

瑞牆山荘登山口

↓瑞牆山の登山口です。ここから約4km、往復8kmの旅が始まります。

↓富士見平まで約50分、富士見平からは瑞牆山方面か金峰山方面への分岐となります。瑞牆山の山頂までは2時間50分、金峰山の山頂までは4時間10分となります。

↓登山口にある瑞牆山荘です。標高1515mの地点となります。

里宮様

↓標高1700mくらいまで登ったところに里宮様があります。「里宮(さとみや)」とは、山上にある「山宮(やまみや)」または「奥宮(おくみや)」に対して、村里にある宮のことを指しています。

こちらの里宮様は昔、金峰・瑞牆・朝日の山々を主体として、一定期間昼夜こもって神仏に祈願していた村々の人たちが安全と豊穣(ほうじょう)を願い、大和国(やまとのくに=現在の奈良県に相当)の金峯山(きんぷせん=吉野山から大峯山にかけての一帯は古くは金峯山と称される聖域)の山神をお迎えし祭ったものが起源となっています。

ところが、数百年の歳月の中で社は朽ち雨に晒され雪に凍る状態でしたので、昭和45年10月、金峯山依り修験道本山節律の行者・神直法師を黒森地区の人たちが招き、ここに本宮の再建と神霊の遷宮(せんぐう=神殿を建て替える時、神霊を移すこと)をしたものです。

御祭神は「金剛蔵王大権現(こんごうざおうだいごんげん)」です。金剛蔵王とは「究極不滅の真理を体現し、あらゆるものを司る王」という意味で、権現とは「権(かり)の姿で現れた神仏」という意味です。

富士見平と富士見平小屋

↓瑞牆山荘(登山口)から標準タイムで約50分。標高1815mの「富士見平」です。

↓富士見平から金峰山方面(山頂まで約3時間30分)か瑞牆山方面(1時間50分)へ、道が分かれます。

↓富士見平は、その名の通り「富士山」を望むことができる場所となっています。(写真が薄くてすみません。見る方向を変えたり薄目で眺めていただくとうっすら見えるかも?笑)

↓しかし新緑から先の、木々の生い茂る季節は少し見にくいかもしれません。ちなみに、ここには「富士見平小屋」という山小屋があり、テント場は小屋の前に広がっています。

天鳥川

↓富士見平から瑞牆山方面、「天鳥川(あまどりがわ)」の近くまでしばらくは高低差の少ない道を進みます。美しい樹林に包まれた道からは時折、瑞牆山の姿が望めます。

↓登山道を少し下ると天鳥川です。

↓ここを流れる水はとても美しく清らかで、せせらぎの音にもとても癒されます。すぐそばにベンチのある休憩スペースありますので、しばしの休憩も良いかと思います。

また、撮影時は4月の雪解け時期だったこともあり、水量も豊富でした。この水の流れはやがて、ここより少し下流側にある「みずがき湖(塩川ダム)」へと注ぎます。

桃太郎岩

↓天鳥川の休憩スペース。そして、ここから山頂までは、登るほどに傾斜は厳しく、越えるほどに岩は大きくなっていく、厳しい道が続きます。十分な休憩(休憩しすぎると逆に怠い)と補給をして出発をされるのが良いでしょう。

↓そして、ここ天鳥川の休憩スペースには、このコースの見どころのひとつ「桃太郎岩」があります。直径約10mと言われる巨大な岩がきれいに真ん中から真っ二つに割れたものはものすごい迫力があり「インスタ映え」すること間違いなし!?です。笑

大ヤスリ岩

↓天鳥川から山頂までの急登を半分越えたところで高さ約30m、天を突き刺すような岩峰「大ヤスリ岩」が現れます。「大ヤスリ岩」は山頂から見ても本当に見事で、瑞牆山を象徴する風景のひとつです。

弘法岩

↓天鳥川から、瑞牆山の南側の斜面を進む急登を乗り越えた場所は、左手にそびえる「弘法岩(こうぼういわ)」の真下です。山頂は右手側に進んで約10分になります。また、真っ直ぐ北側の斜面を下りて行くと「不動滝」のある不動沢沿いのルートとなり、「みずがき自然公園」へと至ります。

瑞牆山山頂

↓標高2230m「瑞牆山」の山頂に登頂しました。下記写真はほぼ東を望んでいます。もう少し左に視線を移すとクライミングの聖地「小川山」があります。

↓上記写真から視線を少し右に移すと奥秩父の盟主「金峰山」です。金峰山の山頂にある「五丈岩」という巨大な岩が小さな尖がりのように見えます。

↓当時の写真は、どれも風景が薄くて申し訳ありませんが、ここから南西側は、南アルプスの美しい山々を一望することができます。眼下に見えているのは「大ヤスリ岩」です。

↓北西側の先には八ヶ岳があります。眼下にあるのは「弘法岩」です。

↓山梨百名山そして日本百名山の「瑞牆山」、この指標はその後倒れてしまったようで、現在は別の所、アズマシャクナゲのわきに立てかけられています。

古くから信仰の山として大切にされてきた瑞牆山。

時代は移り変わり現代、ピクニックからクライミングまで、レベルや目的に合わせて山や自然を楽しめる、幅広く多くの人に愛される山となっています。

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