雲と緑と金峰山「瑞牆山荘~千代の吹上ルート」(2014年9月)1話/2話

2017年も残すところ、あと1ヶ月を切りました。

そろそろ、今年の総括など考え始める時期でしょうか。実は、私にとっての今年は、怪我で本当にうまくいきませんでした。自己紹介でも少し触れましたが、私はアスリートという側面も持っていますが、もう2年近く、「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)」が酷く、まともに戦えていない状況にあります。

とはいえ、大好きな自然と家族に感謝しながら日々を楽しむことも忘れず、腐らず幸せに過ごしております。また、この怪我を期に、こうしてこのブログを通じて言の葉を紡ぎ、みなさまにお届けできるチャンスをもらえたことや、いつも賢者の森に立ち寄ってくださるみなさまとの出会いは、「光明」でした。

個人的に、怪我をすると上りたくなる山がありまして(一般的には、怪我をしたときは安静にしましょう笑)・・・。例えば、「富士山が好き」な人でも「上るのが好き」な人と「見るのが好き」な人がいると思います。私は、この地の「八ヶ岳が大好き」ですが、「上るのも大好き」ですし、「見るのも大好き」です。

ただ、怪我をすると上りたくなる山は、どちらかといえば、後者になります。

その山のひとつが今回ご紹介する「金峰山」です。金峰山は標高2599mの山で、山梨県甲府市と長野県川上村の県境にあります。秩父山地の中でも奥秩父に位置するこの山は、山梨県側では「きんぷさん」、長野県側では「きんぽうさん」と主に呼ばれており「蔵王権現(ざおうごんげん)」を祭る信仰の山としても古くから親しまれています。

ふと思い出された方もいらっしゃるかもしれませんが、以前、当ブログでご紹介させていただいた長野県川上村の「廻り目平(まわりめだいら)」から上れる山です。しかし、今回は山梨県北杜市須玉町の「瑞牆(みずがき)山荘」から上るルートになります。

このルートの特徴としては、登山口である瑞牆山荘から標準タイムで約50分上った場所にある「富士見平(ふじみだいら)小屋」までは、同じ山域の「瑞牆山(みずがきやま)」へのルートと同じルートを辿ります。

瑞牆山もとても人気のある山なので、登山口の駐車場は、シーズン真っ只中の週末や連休ともなるととても混み合い、富士見平小屋までのギザギザとつづら折れる道のりもまた、たくさんの登山客で行き交います。

今回ご紹介するルートは全行程が高低差で1079m・標準タイムで4時間20分かかるのに対して、高低差234m・標準タイムで2時間30分という最短の「大弛(おおだるみ)ルート」というものが存在しています。

金峰山登山では、大弛ルートを使う人の方が圧倒的に多いため、富士見平小屋の分岐から金峰山方面に入ると一気に人が減ります。

富士見平小屋からは少し緩い上りがあり、その後、「飯森山(いいもりやま)」の南側(進行方向で右側)をトラバース(=斜面を横方向に横断)する「横八丁」と呼ばれるなだらかな針葉樹林帯の道を進み、約1時間ほどで「大日(だいにち)小屋」に至ります。

大日小屋からしばらく進むと今度は「縦八丁」と呼ばれる急登が現れます。ここまで樹林帯の中を進むことが多く、あまり景色のひらけない道中なのですが、この縦八丁の後半で一気に高度感のある素敵な景色がひらけます。

余談ではありますが、当時、地元で瑞牆山が(駐車場および登山道が)混み合う状況をよく知っていたので、夜明け前からの行動をしておりました。そのため、登山開始直後の写真が全く無く、上記写真が一番最初になってしまっていますこと、ご了承くださいませ。

下記写真、手前左に見えているピークが標高2093m「鷹見岩(たかみいわ)」、手前右に木の陰から見えているピークが先ほどトラバースしてきた標高2116m「飯森山(いいもりやま)」です。また、飯森山の奥に見えている山が「八ヶ岳」になります。

南アルプスの山々も、くっきりです。「北岳(きただけ)」「間ノ岳(あいのだけ)」の手前には「鳳凰三山(ほうおうさんざん)」があります。

雲は見る人によって様々な姿に見えます。この日の雲はとても美しく、私は、この雲は「(まんが日本昔ばなしのオープニングに出てくるような)龍」に見えてしまいました。

上を見上げると標高2201m「大日岩(だいにちいわ)」が見えます。ここはちょうど大日岩のほぼ西側に位置している場所になり、南側を回り込むように縦八丁を上りきります。

縦八丁を上りきりました。南側から見た(北方面を望んで見ている)大日岩です。大日岩の右側にある登山道は、少し先で分岐し、ひとつは長野県川上村の「廻り目平」へ。ひとつはフリークライミングのメッカとして有名な「小川山(おがわやま)」を経て「廻り目平」へと続いています。金峰山への道は、これとは逆方向(南東方向)に進みます。

大日岩の横からは八ヶ岳がこのように見えています。別の山から、大好きな八ヶ岳が見えると不思議とテンションが上がる私。青い空に溶かしたように伸びる雲がとてもきれいです。

大日岩を背に出発すると、すぐに再び樹林帯に突入します。樹林帯の中しばらく平坦な道を進み、その後、「砂払ノ頭(すなはらいのあたま)」という森林限界まで景色のひらけない長い上りに入ります。ここは、精神的にもかなりきつく感じる区間だといわれています。

大日岩から約1時間。森林限界を越え「砂払ノ頭」に到着します。ここからの景色は、世界が変わったかのように一気にひらけ、すばらしい絶景が広がります。

下記写真の中央奥にそびえているのが、「八ヶ岳」になります。そして右手前で存在感を放っている岩山が前述した標高2230m「瑞牆山」になります。

金峰山の山頂もすぐ先に確認できるようになり、天空を歩くような道に入ってゆきます。この先は「千代ノ吹上(ちよのふきあげ)」と呼ばれる場所になりますが、第1話の今回はここまでとなります。

金峰山の山頂は私の好きな、広く、平らで、長い時間だらだらしたくなくような、のどかな雰囲気をもった景色のきれいな素敵な場所でした。

雲と緑と癒しの金峰山の旅は続きます。

<第2話へつづく>

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