四国・九州を巡る旅 3日目 第一話「飯野山(讃岐富士)」+α

過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。

そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。

3日目 第一話

この旅の最初の山である「四国山地(しこくさんち)」。「見ノ越(みのこし)」という峠にある登山口から「剣山(つるぎさん)」「次郎岌(じろうぎゅう)」を経て「三嶺(みうね)」までの行程を往復した2日目の旅。

下山後は夕暮れの中しばらく木々に囲まれた薄暗い山道を車で走り、有名な「大歩危(おおぼけ)」渓谷にある「大歩危温泉」に到着し、温泉に入ったのでした。その後、目的地はさらに西へ。九州へと渡ることになります。

しかし、生まれて初めて四国へ来たので「うどん」を食べて帰りたい!

そんな思いから、移動日である3日目にうどん食べることにし、そこからちょうど北にある「うどん県」こと香川県に進むことにしました。2日目も適当な場所で車中泊をし、迎える3日目。目星をつけたうどん屋さんの開店トップ通過を目指します。

朝起きると、薄暗い中、近くにとてもきれいな、まるで「株式会社 明治」から発売されている「アポロ」というチョコレートのような形の山を見つけたのでした。

急遽、携帯で調べてみるとそれは「飯野山(いいのやま)」、別名「讃岐富士(さぬきふじ)」と呼ばれる山だということが分かりました。

と、同時に登山可能な山であることも分かり、うどん屋さんのオープンまでの時間と、見た感じの規模から、行けると判断し急遽登山することに決定したのでした。

まさに、これが本当の「朝飯前」というものでしょうか。

飯野山は香川県の丸亀市(まるがめし)と坂出市(さかいでし)の境に位置する山です。前述したように、その美しい形から「讃岐富士」と呼ばれる「郷土富士(※1)」のひとつです。また、「讃岐七富士(※2)」のひとつにも数えられています。

※1)郷土富士(きょうどふじ)とは、日本各地にある「富士」と呼称される山のこと。その多くは山容が富士山に似ていることによるが、歴史的に富士山と何らかの関係がある山やその土地を代表する山にも「富士」を付したものがある。

※2)讃岐七富士(さぬきななふじ)は、讃岐国(現在の香川県)で古くから呼ばれている七つの郷土富士のこと。

丸亀市によると、飯野山には主要な3本の登山道があり、「飯野町登山口」からのコースが歩きやすく登山者も多いとのことです。「飯山町登山口」からのコースは石段の直登、「坂出登山口」の西又道は途中で飯野町登山口コースに合流するコースになります。

私の使わせていただいたコースは、石段の直登「飯山町登山口コース」でしたが、本当に頂上に向かって真っすぐ上るような登山道で、なかなかの角度でした。しかし、丸亀市の観光案内にもあるように健脚の方であれば30分ほどで上りきれる山になります。

“ 暁に駒をとどめて見渡せば讃岐の富士に雲ぞかかれる ”

「大正11年(1922年)11月、丸亀平野で繰り広げられた陸軍特別大演習の際、飯野山の美しい姿が善通寺与北町の鉢伏山において摂政宮殿下(昭和天皇)の目にとまり、後日お詠みになられた歌を記したものであります。」

山頂には大きな石碑があり、上記のような説明が書かれていました。また、飯野山は「新日本百名山(※3)」のひとつに選定されている山でもあります。

※3)新日本百名山(しんにほんひゃくめいざん)とは、登山家の岩崎元郎氏が、中高年が登り易い山という点を加味して選定した日本の百山。日本百名山(深田久弥氏の選定した山)が52山含まれている。

飯野山の山頂は標高421m。見た目からは想像できないくらい山頂は平坦で、のどかな雰囲気です。森林に囲まれた山頂の木々の間からは、讃岐平野が見られ、その標高以上に高度感のある風景が味わえます。

下山後、無事にうどん屋さんの9:00オープンには余裕すぎるくらいに到着。しかし、四国に来るのも、うどん県でうどんを食べるのも初めてなので、もしかしたら独特のしきたりがあるかもしれない!

もし、そうだった時に焦ってよそ様にご迷惑をかけないように、あえてトップ通過ではなく2~3人くらい前に居てもらって「例に倣う」のが得策。そう思った小心者の私は、車の中で誰かが先頭に並ぶのをひたすら待ったのでした。

結果、4番目に並ぶことができました。注文できる品はきっとどれも美味しいのでしょうが、前に並んだ3人の方が注文したものが同じものだったので、きっとおススメなのだろうと思って私も同じものを注文したのでした。

うどん屋さんでは4番目に並べましたが、並んでいるうちにどんどん後ろが連なり・・・食べ終わり、お店の外に出た時には、すごいことになっていました。「早起きは三文の徳」「先手必勝」・・・これを見ていろんな言葉が浮かびました。

次回は、うどんの後、四国から九州へと渡る道中をお送りします。実は、次回に起こる出来事も人生初で、楽しすぎて子供のようにはしゃいだのを覚えています。次回もどうぞお楽しみに。

3日目第二話へつづく。

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