四国・九州を巡る旅 8日目 第四話「牛斬山」

過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。

そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。

8日目 第四話

福岡県「福智山地(ふくちさんち)」の南端にある「牛斬山(うしきりやま)」は、前回到着した「焼立山(やきたてやま)」から約3kmほどの道のりの先にあります。

焼立山の標高は759m、対して牛斬山の標高は580m。この間は、下り基調の登山道となっているため、一般的には約1時間の道のりと言われています。

当時、牛斬山の頂上まであと少しの上りというところで若く見ても70代くらいの夫婦が下りてきました。私は道を譲りながらご挨拶すると、そこからとても話が弾んでしまい、束の間の楽しい時間をすごさせていただきました。当時のお天気のように、あたたかい出会いでもありました。

本当にいろいろお話したので、今思い返しても、ひとつひとつどんなお話をしたか詳細に思い出せないほどなのですが、とりあえず、「尺岳(しゃくだけ)」から来たこと、またそこに帰ることにとても驚かれていたのはよく覚えており、今後についても、とても応援していただきました。

今回の福智山地の旅で最南端の山、牛斬山に到着しました。左にある石、休憩させていただくのにとっても良い石でした。ありがとうございました☆

牛斬山:580m

前回の投稿記事でも少しご紹介させていただきましたが、牛斬山の山名の由来は、「薄霧山」と表記されたこともあるそうで、それが訛って今の形になったとする説があるそうですが、確証はないとのことです。

出会いと癒しの牛斬山。しかし山頂からは驚きの風景が見られました。(向かって)右の山・・・横一閃、斬られたように見えます w(*ω*)w!? まさか、牛斬山から見える山が「斬(切)」れてるとは思ってもいなかったので驚愕でした。

この山は、福岡県香川郡香春町にある「香春岳(かわらだけ)」という三つの峰で構成された山です。地元では香春岳と呼ばず、一ノ岳、二ノ岳、三ノ岳と各々を呼ぶことが多く、切れている山は一ノ岳になります。最高峰は三ノ岳の標高509mです。

香春岳(左から 三ノ岳、二ノ岳、一ノ岳):最高点は三ノ岳の509m

香春岳は、全体が高品位の石灰岩で出来た山のため、昭和初期からこれを原料にしたセメント工場が立地していました。現在、工場は閉鎖されていますが、この石灰石採掘で一ノ岳の高さは元の半分程度になったとのことです。

ただ、この山は、五木寛之氏の「青春の門(※1)」の舞台にもなっている “筑豊の名峰” です。この山について少し調べてみましたが、過去から変わったこの姿が、今では普通の姿として地元に愛され、変わらない “筑豊の名峰” であることが分かります。

※1)青春の門(せいしゅんのもん)は、五木寛之(いつきひろゆき)氏が1969年から「週刊現代」に断続的に連載している大河小説で、テレビドラマ化や映画化、漫画化もされた。1976年、「筑豊編」で同氏は吉川英治文学賞を受賞した。

では、あたたかい出会いと、様々な歴史の一端に触れられた福智山地の旅の折り返しとなります。準備を整え、福智山方面に向け出発しようとしたところで、30~40台くらい?と思われる夫婦が山頂にやってきました。

山での一期一会の出会い。

そのひとつひとつと同じようにご挨拶すると、その、ご夫婦・・・

「さっき、すれ違ったおじいちゃんおばあちゃんが “山頂にまだマラソンのお兄ちゃんがいたらこれを渡してください” っていってました☆」

そう言って「伊右衛門(※2)」の500mlを渡してくださいました (TωT)

※2)伊右衛門(いえもん)は「サントリー」が発売している緑茶飲料、および、宇治の露製茶から発売されている緑茶。名称は、製茶業の老舗である「京都・福寿園」の創業者「福井伊右衛門」から。

実は、当時、牛斬山付近ではとても良い天気に恵まれたおかげで、かなり暑く、思いのほか水の消費が多く、少し大変でもありました。往復約30kmという旅の中で、後半ちょっと水が足りなくなりそうな予感がしていただけに、ものすごくありがたかったです。

その時、牛斬山でお世話になった「おじいちゃんおばあちゃん」や「ご夫婦」のみなさまが、いつかこのブログを見てくれたらすごく嬉しいな☆という想いを込めて、今でも心から感謝していることをここに記させていただきたいと思います。

本当に本当にありがとうございました。

8日目第五話へつづく。

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