泉場(せんじょう)のプロフェッショナル【風呂の日シリーズ(6)】

2017年11月26日「1126=いいふろ=良い風呂」の日から、毎月26日後最初の投稿を不定期で、お風呂ネタをお送りしている「風呂の日シリーズ」。ここでは、温泉好き・お風呂好きな筆者が、温泉で出会った愛すべき出会いや思い出、ときに、各地の温泉・お風呂をご紹介していけたらと思っております。(第6回目)

尚、このシリーズでの話では写真などはございません。文章でお楽しみください。。

泉場(せんじょう)の “P”

様々な人が訪れる温泉は、人それぞれが思い思いの時間を過ごす憩いの場所です。しかしそれは、ときに自分を高めるトレーニングの場所にもなり、同時に、プロフェッショナル達の質の高いトレーニングは人々を魅了してやみません。

とある日の午後、私はいつもの温泉に行きました。湯船につかり、ふと目についたのは・・・

とあるひとりの中年男性でした。その人は、髪が長めで色は白め・・・そう、ちょうど元総理大臣の小泉純一郎氏をイメージするとしっくりくるような感じの人でした。

その、元総理はお風呂の一段目に座り半身浴をしていましたが、よく見ると水面の上で何か手を動かしているようでした。

しばらく観察していると、元総理は水面を鍵盤に見立ててピアノをひくイメージトレーニング(いわゆるエアピアノ)のようなことをしていたのでした。

さらにしばらく観察していると、調子が出てきたのかエンジンがかかってきたのか、徐々に動きがダイナミックになってきました。

最初は申し訳なさそうなくらい小さく遠慮がちにひいていたピアノでしたが、このとき、鍵盤を端から端までフルに使ってひいているようでした。

そうしているうちに、だんだんと、鍵盤を打つ指にも力が入ってきているようで、同時に水しぶきが上がりまくり、長い髪の毛も振り乱すようにひくようになりました。

私の個人的価値観では、ボクシングは髪型をアフロにすると強そうに見えますが、ピアニストは髪の毛の尖端をクルっとカールさせていると、小中学校の音楽室の壁に飾られているような音楽家(肖像画)のようにオーラが違うな・・・と、私は思ったのでした。

そうしているうちにピアノの演奏はクライマックスを迎え、何をひいているのかまったく分からなかった私にも、最後の、ジャン!ジャーン!の部分だけは聞こえたようでした。

元総理も自分の演奏の余韻にひたるようにそのままのキメポーズで数秒間、目を閉じたままになっていて、私は思わず拍手をしそうになったのでした。

泉場(せんじょう)の “K”

様々な人が訪れる温泉は、人それぞれが思い思いの時間を過ごす憩いの場所です。しかしそれは、ときに自分を高めるトレーニングの場所にもなり、同時に、プロフェッショナル達の質の高いトレーニングは人々を魅了してやみません。

とある日の午後、私はいつもの温泉に行きました。湯船につかり、ふと目についたのは・・・

とあるひとりの中年男性でした。その人はメガネをかけていましたが、それ以外は、至って普通の人といった感じでした。

その人は湯口のすぐ近くに座っていましたが、自身の少し手前の水面を見つめ、何かを考えているようでした。

その時の表情は、メガネの奥でなかなか鋭い目を光らせており、完全に・・・何かの「勝負師」の表情でした。

この勝負師、何かを狙っている・・・と、私は固唾を呑んで見守っていました。

ずっと考え込んでいた勝負師はふいに、右手を挙げ、その後、間髪入れずにその手を(正確には指の部分を)水面に叩きつけたのでした。

その瞬間、なんとなくピシーッ!という、碁石か駒が、碁盤か将棋盤に叩きつけられたような音が聞こえた気がしたのでした。

そうです。その勝負師は、おそらく棋士と呼ばれる人だと思われ、熱い風呂の中で見えない誰かと熱い勝負を繰り広げていたのでした。

ただ、その一手以降、再び考える時間が長くなり、勝負の行方どころか、いつまで風呂に入っていたのかも、今では謎のままです。

泉場(せんじょう)の “G”

様々な人が訪れる温泉は、人それぞれが思い思いの時間を過ごす憩いの場所です。しかしそれは、ときに自分を高めるトレーニングの場所にもなり、同時に、プロフェッショナル達の質の高いトレーニングは人々を魅了してやみません。

とある日の午後、私はいつもの温泉に行きました。(すみません。私が温泉に行ってるのはだいたい午後です。)その温泉は、条件が良ければ露天風呂から富士山を望むことができます。湯船につかり、ふと外(露天風呂)に目を向けると・・・

露天の湯船で、とあるひとりの齢30代~40代くらいと思われる、けっこう鍛えてある感じの細マッチョな男性が仁王立ちで富士山に向かって立っていたのでした。

お日柄も良く、仁王立ちして富士山を眺めたくなるんだろうな~なんて、私はほのぼのした気持ちで、その人の立派な尻のうしろ姿を眺めていました。

しかし、その細マッチョさんはただ風景を眺めていたわけではありませんでした。

その細マッチョさんはふいに、私から見て右側に身体を向けると、やや前傾姿勢で足の幅を丁度良い感じに調整している感じでした。

腕は下に真っ直ぐ、手は前で組んでいる感じで、目線は足元よりちょっとだけ向こう側・・・そう、これは、やったことのない私にも何となく分かる「ゴルフのフォーム」のようでした。

細マッチョさんは富士山の方をチラチラ見ながら打つ方向を確認していました。そして、何回かゆっくりスイングを確認するようにしていましたが、大きく振りかぶると・・・完璧ともいえるような美しいフォームで打ち放ったのでした。

ボールは(たぶん)富士山の方へ真っ直ぐ飛んでゆき、その細マッチョさんのうしろ姿もなかなか絵になりそうな雰囲気で(実際、絵になったらヤバイですが)、私は思わず「ナイスショット!」といいたくなるほどでした。

たぶん、この人なら、この経験を活かし、池からでも叩き出せそうだと思ったのでした。

まとめ

達人の域に達するとイメージしているものが見える(聞こえる)と・・・

とあるマンガに描いてありましたが (*o☆)ヾ( ̄皿 ̄メ) {マンガカイ!!

温泉では、まさにそんなプロフェッショナルの素晴らしい仕事を見させていただくことがあります。その瞬間、温泉はプロの舞台と化し、私もそんな多くの人に喜んでもらえるような良い仕事ができるよう研鑽を積んでまいりたいと思います。

私はテレビ大阪制作・テレビ東京系列で放送されている「和風総本家」という番組が「日本っていいな」と思わせてくれて好きになり、機会があればみさせていただいています。そんな和風総本家の受け売りのような感じになりますが、やっぱり・・・

「日本のお風呂っていいな」

温泉でも常に追求することを忘れないプロフェッショナルたちに

最高の仕事を。

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