常念山脈・東鎌尾根「燕岳~西岳~常念岳」(2013年9月)3話/全3話

今からちょうど4年前の2013年9月28日土曜日、「飛騨山脈(ひださんみゃく)通称:北アルプス」の「常念山脈(じょうねんさんみゃく)」から「東鎌尾根(ひがしかまおね)」にかけてを旅してきました。北アルプスは、富山県、新潟県、岐阜県、長野県に跨って連なる山脈です。

常念山脈は北アルプスの中のひとつで、主稜線の東側に平行して南北に延びる山域の総称です。「中房温泉(なかぶさおんせん)」から「燕岳(つばくろだけ)」を経てこの稜線へ至る登山道は「表銀座」と呼ばれています。1934年(昭和9年)12月4日 に山域が、中部山岳国立公園に指定されました。

第2話となる前回は、燕岳の燕山荘から出発し、「大天井岳(おてんしょうだけ)」のやや南西にある大天井ヒュッテを経て「西岳(にしだけ)」までを紹介させていただきました。ここまで標準タイムで計算すると10時間50分ほどの道のりとなっていますが、天候にも恵まれ時間に見合うだけのいろいろな景色に会うことができました。

第3話の今回は、ヒュッテ西岳から折り返し、常念山脈の主峰・常念岳を目指し、その後、スタート地点である中房温泉登山口へと下山の途につきます。かなり長い旅路でしたが、最後までどうぞお付き合い、お楽しみくださると幸せです。

前回にも登場したヒュッテ西岳。手作り看板のコマクサマークが可愛らしい山小屋です。

ここから一路、第2話と完全に同じ道を引き返すことになります。

余談になりますが、賢者の森では、このブログを読んでくださるみなさまが、実際に旅をしている気分を味わっていただきたいという思いから、私個人のコースタイムはなるべく紹介しない方針をとっています。ここで紹介させていただいている「標準タイム」は、「国土地理院」様発行の山岳地図に掲載されている区間タイムから計算させていただいております。

話を戻しまして、ヒュッテ西岳から大天井ヒュッテまでは標準タイムで約2時間30分。当時、引き返しのこの区間はひたすら走ったため、写真を一枚も撮っていませんことをご了承ください。しかし、当時見ていた景色は第2話で紹介させていただいた景色を逆に遡るような感じで、だんだんと槍や穂高の姿が遠くなっていくのを背に走っていました。

そして、大天井ヒュッテから約1時間ほど上った場所にある「大天荘(だいてんそう)」に到着です。当時ここに到着する直前に、持ってきた水を使い切ってしまっていたので、本当に助かったのを良く覚えています。そういった意味で、ここ大天荘だけでなく、所々にある山小屋は本当にありがたい存在で、登山者の安全を守ってくれていると思います。

山小屋によっては、テント場を持っていたりします。大天荘のテント場はとても解放感があります。また、ここからしばらく続く登山道も解放感があり、天空の道という感じでした。

大天荘を出発して少しのところで、振り返ったときの写真です。大天荘、その後ろに大天井岳が見られます。よく見ると向かって左側の斜面、緑のハイマツ帯を割るように通る登山道が見えますが、これが、西岳から来た時に歩いてきた道になります。

それでは、ここからは天空の道と感じた開放感のある雰囲気と、徐々に近づいていく常念岳をお楽しみください。

山は、場所によって見え方がまったく違ったりします。そういう意味で私の住む八ヶ岳は本当にいろいろな顔を見せてくれるのですが、今回、北アルプスの表銀座を旅してみて槍ヶ岳はどこから見ても槍であることが一目瞭然でわかる存在感がすごいと思いました。

下記写真、ここを下りきった鞍部が「常念乗越(のっこし)」と呼ばれる場所で、常念小屋も見られます。雲が湧き立っている側からは「一ノ沢登山口」からの登山道がつながっています。私の持っている写真の中でこの写真が一番、常念岳の迫力が感じられて個人的に好きです。また、常念岳山頂に向かう登山道の厳しさも伺えます。

常念乗越から見られる景色もまた絶景です。

常念乗越から、いままで来た道のりを振り返った景色です。

常念乗越から、標準タイムで約1時間20分、標高にして約391mほどを一気に上げてきます。ここが標高2857m、常念岳の頂上です。

ちなみに、ヒュッテ西岳からの標準タイムで約7時間10分の場所になります。

常念岳山頂からの景色です。眼下に広がる街並みのほぼ中央は松本市で、その左側が安曇野市です。写真中央、松本市の奥の山地には有名な「美ヶ原(うつくしがはら)」があります。

下記写真は、個人的にちょっと感慨深かった景色でした。雲が湧き上がって見にくくなっていますが、ほぼ写真中央の奥に燕岳があります。この後、見えている稜線を辿って燕岳の麓の登山口まで戻るのですが、厳しい道のりの中に自然の良さを感じられる様々な景色があり、日常では味わえない、すごく良い旅でした。

下記写真は帰り道の登山道でのものです。夕暮れの中、雲が湧き上がり、この後完全に雲につつまれ足元しか見えないような雲の中を進みました。

その後、雲の中を進み続け、そんな中で日も暮れてしまいました。ライトを装備してしばらく進んだ頃、とても幻想的な景色が現れたのでした。

最後は星空の下、たくさんの思い出をお土産に、無事下山することができました。今回を含めいつも思うのは「安全登山」できて心から感謝です。

標準タイムで34時間25分。北アルプス表銀座の旅でした。今回もブログを通して長旅にお付き合いくださりありがとうございました。この旅からも、自然の奥深さや、その環境を守ることの大切さを感じていただけたら心から幸せです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする