森の貴婦人 -ミヤマエンレイソウ- (花期:5月~6月)

Google(グーグル)などの検索エンジンで「エリマキトカゲ」と、検索して出てくる画像が本っ当によく似ていると個人的に思っているのが、今回ご紹介する「ミヤマエンレイソウ」という植物です。

(賢者の森では、エリマキトカゲの画像を保有していないので同時に掲載することができず誠に申し訳ありませんが、お時間がございましたらぜひお試しください。ちょっとだけ笑えます。)

ユリ科エンレイソウ属の多年草「ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)」、またの名を「シロバナエンレイソウ(白花延齢草)」といい、山地の落葉樹林のやや湿った場所から、より高い標高の地域にも見られます。

エンレイソウの学名「 Trillium (トリリウム)」は「3を基本の数としたユリ」という意味で、この仲間のほとんどが、葉っぱが3枚・萼片が3枚・花弁が3枚であることなどに由来しています。

また、「エンレイソウ(延齢草)」という和名の由来については、はっきりしたことは分かっていませんが、下記のような説があります。

・アイヌ語では「エマウリ」と呼んでおり、それが、エマウリ → エムリ → エムレ → エンレイ と、変化したとの説。

・中国では、漢名で「延齢草根」という民間薬として知られていた。高血圧・神経衰弱・胃腸の薬としての用途が多く、いくつかの古文書にも登場することから、薬草の効果がある延齢草になったとする説。

※和名「エンレイソウ(延齢草)」の由来については「森と水の郷あきた あきた森づくり活動サポートセンター」様のサイトから情報を参照させていただきました。貴重な情報をありがとうございました。

エンレイソウの黒く熟した果実は食用となるそうですが、古くから中国において延齢草根という胃腸薬として使われてきた根茎は、サポニンという有毒成分が含まれており、嘔吐・下痢などの中毒症状が引き起こされます。これにより催吐剤の薬草として使われてきたわけですが、まさに「毒を以って毒を制す」。

しかし、野草や山菜では完全に毒草扱いなので安易に口にしないよう注意が必要です。

日本のエンレイソウの代表的なものは以下の3つがあげられます。

・エンレイソウ(延齢草)

・ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)

・オオバナノエンレイソウ(大花延齢草)

ミヤマエンレイソウは、別名「シロバナエンレイソウ(白花延齢草)」と呼ばれているだけあって、美しい純白の花を咲かせます。しかし、ミヤマエンレイソウの白い花に淡い紫色を帯びたものがあり、これを「ムラサキエンレイソウ(紫延齢草)」と呼んでいます。

これは、ミヤマエンレイソウの変種とされてきましたが、花色変わりによるものです。

ミヤマエンレイソウの花期の姿は、葉から花までとても美しく、高山帯ではまだ白く雪が残っている頃に深山で春を感じさせてくれるように咲きます。私はこの頃の、まだ凛とした空気が残りながら暖かな日差しの降り注ぐ山の、徐々に動植物たちが目覚めていくような風景・空気感が大好きで・・・「深山」でありながら「美山」を実感します。

エンレイソウは葉から花までとても美しく、その大きな葉と清楚な花はドレスを着た貴婦人に例えられ、「森の貴婦人」と称されています。

そんな森の貴婦人の花言葉は、エリマキトカゲ発言が謝罪会見になるような、気品あふれる「奥ゆかしい美しさ」です。

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