真夏の森に凛と立つ -ウバユリ- (花期:7月~8月)

2018年7月かつてないほどの猛暑が続いた日本列島は、8月1日も広く高気圧に覆われ国内の観測地点の2割を超える200地点で最高気温が35度以上の猛暑日となりました。

東日本の7月の平均気温は平年を2.8度上回り、1946年の統計開始以降で最も高くなりました。7月23日には、埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1度を記録しました。

西日本でも平年を1.6度上回り、過去2番目に並ぶ高温となりました。気象庁によると「30年に1度もない異常気象。西日本を中心に8月中旬まで猛暑日が続く」としています。

また、気象庁の竹川元章予報官は、この猛暑は7月上旬の西日本や東海を中心とする豪雨とともに、「30年に一度以下の頻度で起こる異常気象であったと言える」と話しました。

竹川予報官は一方で、「起こるはずのないことが起こったわけではない。地球温暖化が進行し、大雨や顕著な高温が長期的に増えている。将来も増えると予想されている。」と説明しました。

参照した記事:「読売新聞」「時事通信」

このように、2018年は本当に暑い日々が続いていますが、そんな真夏の真っ只中に森を歩いていると、純白の美しい花を咲かせ凛と立つ植物に出会うことがあります。

それが、「ウバユリ(姥百合)」です。

ウバユリは、ユリ科ウバユリ属の多年草で、山地の森林に自生する植物です。

かつて、ウバユリ属の植物はユリ属に含まれていましたが、特徴的に葉の形がハート型であることから、「学名:Cardiocrinum(ギリシャ語でcardia:心臓 + crinum:ユリ)」として別属とされました。

「ウバユリ(姥百合)」という和名にある姥とは年を取った女性を指す言葉ですが、ウバユリは花が咲く頃に葉が枯れ落ちてなくなることから、「葉がない」を「歯がない」姥に例えて名付けられたものと言われています。

ただ、写真を見ていただいても分かるように、実際には花が咲いても葉が残っていることが多いようです。

草丈は50cm~1m。花は細長く筒状に咲き、横向きに長さ12cm~17cmほどになります。色は、やや黄緑がかった白で、少し沿った花びらの先端には赤褐色(ワインレッド)の斑点がみられます。

ウバユリは通常10輪ほどの花をつけますが、ウバユリの変種「オオウバユリ(大姥百合)」は草丈が2m、つける花は20輪にもなります。

この森で出会ったウバユリはちょうど10輪。

ユリの王様と称される「ヤマユリ(山百合)」の花は、その立派過ぎる花の重みで全体が傾いてしまったり、太い茎が、“カツオの一本釣り中の竿”のようにしなってしまっているものが多いです。

しかしながら八ヶ岳南麓清里高原の森の中で、この見事なバランスで咲く純白のウバユリの、凛とした立ち姿は、「姥(ウバ)」と呼ばれながらも「淑女(レディ)」のようにすら感じさせてくれます。

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