四国・九州を巡る旅 2日目 第三話「剣山」

過去、私はゴールデンウィークを利用して、「雪の無い山」を目指して南へ出発し、小さな軽自動車で車中泊をしながら、四国・九州を巡る旅をしてきました。当時、奇跡的に西日本はあたたかな好天に恵まれ、各地であたたかい出会いにも恵まれました。

そんな旅を、数回にわたってお届けいたします。

2日目 第三話

この旅の最初の山である「四国山地(しこくさんち)」。「見ノ越(みのこし)」という峠にある登山口から「剣山(つるぎさん)」「次郎岌(じろうぎゅう)」を経て「三嶺(みうね)」までの行程を往復した2日目の旅。

全体の行程の中では折り返し地点となる三嶺からお届けしている2日目のお話ですが、第三話となる今回は、第二話で到着した次郎岌から、剣山までの旅をお届けします。

次郎岌山頂付近にある分岐(三叉路)からほぼ真西を望んでいます。

次郎岌からほぼ北東に位置する剣山。この位置から見る剣山はとてもきれいで、次郎岌山頂(手前)からのトレイルが剣山の山頂までずっと美しく続いているのが確認できます。

次郎岌から剣山までは標準タイムで約55分ほどの道のりになります。剣山山頂と次郎岌山頂を最大(剣山側から)164m標高を下げて繋ぐ「吊り尾根」と呼ばれる道を進み、剣山の山頂付近まで来たところで振り返り見る次郎岌は、どこか剣山に良く似ています。

日本百名山のひとつとしても知られる剣山は別名「太郎岌(たろうぎゅう)」とも呼ばれており、対峙する次郎岌とは兄弟の山として親しまれてきました。

ちなみに、太郎岌・次郎岌の名前に使われている「岌(ぎゅう)」とは、「山が高い」「高い山」「危うい」「高く盛ん」などの意味があります。

剣山の山頂直下から見た次郎岌。剣山からはほぼ南西に対峙する次郎岌は、どこか、次郎岌から見た剣山の風景にとても良く似て見えます。

剣山の山頂に到着しました。朝、登山口である見ノ越から登頂したときは、まだ暗闇の中だったということもあり、三嶺までを往復して戻ってきたときは「帰ってきた」よりも「初めてきた」という感覚が強かったです。

ここまで、登山開始から標準タイムで約15時間40分の道のりになります。

剣山(太郎岌)の山頂です。

剣山の一等三角点。標高:1955m

剣山は、徳島県の山で、同県の最高峰の山です。また、前述したように深田久弥氏の「日本百名山」にも選定されており、徳島県では「県のシンボル」とされている山です。

剣山は、古くから山岳信仰の対象とされ、修験道の山としても知られてきました。山頂付近には「行場」と呼ばれる修行用の難所があります。

山頂付近には「コメツガ」「ウラジロモミ」のほか、固有種の「シコクラシベ」が生育しており、一部は林野庁により鎗戸林木遺伝資源保存林に指定されています。

平坦で、のどかな山頂付近は、そんな貴重な植生を守るように広く木道が整備されており、木道以外は立ち入ることはできませんが、のんびりゆったりと時間を過ごすには、とても良い環境が整っています。

四国・九州を巡る旅の2日目 「剣山」「次郎岌」「三嶺」の美しい山並みに続くトレイルの旅を全三話にわたってお届けしました。

以前にも申しましたが、ここは百回でも千回でも歩きたくなるような美しい風景が広がっており、今なお、またいつか行けたらと思う場所でもあります。

個人的には、「山」と「温泉」はセットになっており(笑)切っても切り離せない関係にあります。山での疲れを癒し、素敵な風景や思い出を思い返しながら浸かる温泉の時間は、何者にも代えられない贅沢な時間だと思います。

剣山を無事下山した後は、夕暮れの中しばらく木々に囲まれた薄暗い山道を車で走り、有名な「大歩危(おおぼけ)」渓谷にある「大歩危温泉」に到着し、温泉に入ったのでした。その後、さらに西へと進み、四国・九州を巡る旅は続きます。

3日目へつづく。

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