八ヶ岳高原大橋(黄色い橋)

私の住んでいるこの八ヶ岳南麓は、美しい自然が広がり、見どころもたくさんあり紹介したい場所も多々ございますが、今回は、当ブログ最初の投稿記事「はじめまして賢者の森」(2017/07/17)にも少し登場したということもあり、八ヶ岳高原大橋(やつがたけこうげんおおはし)通称:黄色い橋について少し掘り下げてご紹介してみたいと思います。

どんなところにある?

八ヶ岳高原大橋(黄色い橋)は、山梨県道28号北杜八ヶ岳公園線の大泉町西井出と高根町清里(ともに北杜市)を結ぶバイパスの中にあり、八ヶ岳の地獄谷から流れ出る川俣川(かわまたがわ)に架かる橋です。

川俣川は傾斜45°~35°という急峻で深い V 字谷にあり、ここを路面から谷の最深部までの高さ110mの位置で渡ります。そのため、橋脚の高さは最大74mという国内有数のハイピア(高層の橋脚)となっています。

橋に立つと、北に八ヶ岳(やつがたけ)、南に富士山(ふじさん)を望むことができます。また、南西方面に目を向けると甲斐駒ケ岳(かいこまがたけ)鳳凰三山(ほうおうさんざん)奥に北岳(きただけ)と、南アルプス(=赤石山脈)の山々が。眼下には川俣川の美しい渓谷美が広がっており、絶好のロケーションを誇っています。

北方面に目を向けると八ヶ岳連峰の美しい姿が見られます。中央のひときわ白い山が最高峰の赤岳(あかだけ)です。そのやや左奥に尖って白く見えるのが阿弥陀岳(あみだだけ)。さらに左に見える高い山が権現岳(ごんげんだけ)です。この季節、際立って青く輝く空は、この地域特有の「八ヶ岳ブルー」と言われ、本当に美しいです。

南方面に目を向けると遠くに富士山の美しい姿が見られます。川俣川渓谷の川俣川は眼下の国道141号線、月の木上橋を越えた少し先で、同じく八ヶ岳の大門沢から流れ出る大門川(だいもんがわ)と合流し、須玉川(すだまがわ)となります。この水の流れはいずれ富士川(ふじかわ)の一部となり、太平洋へと注ぎます。

南西方面に目を向けます。写真中央、美しいピラミッド型の山容をしているのが甲斐駒ケ岳です。左の方に連なる高い山は鳳凰三山で、左から薬師岳(やくしだけ)観音岳(かんのんだけ)地蔵岳(じぞうだけ)と並んでいます。そのやや右奥に見える、際立って白い山は北岳です。北岳は、富士山に次いで日本で二番目に高い山です。

どんなつくりをしている?

八ヶ岳高原大橋は、橋長490m、幅員10.5m。一般に橋の材料には木や鉄を用いたりしますが、とくに規模の大きな橋には鋼鉄が用いられ、この橋の材料も鋼鉄です。八ヶ岳高原大橋の橋脚から上部は「鋼4径間連続トラス+鋼単純曲線箱桁」という工形式になっています。

橋長:490.00m/支間:(75.0m+90.0m+180.0m+90.0m)+55.0m/幅員:10.5m(2.50+0.50+3.25×2+1.00)

八ヶ岳高原大橋の桁部分は、トラス構造を使った「トラス橋(トラスきょう)」というタイプの橋です。トラスというのは、細長い部材を両端で三角形に繋いだ構造で、材料に曲げの力がほとんどかからないことから、軽くて丈夫という特徴があります。そのためトラス構造は、橋以外でも建物の柱や屋根、鉄塔等、様々な建造物に用いられています。代表的なものには東京タワーがあります。

八ヶ岳高原大橋の橋脚は4本あります。なので「4径間連続トラス」ということになりますが、大泉側からみて四番目(清里に一番近い)橋脚から陸地までの部分は、「箱桁橋(はこげたはし)」という別のタイプの橋になっています。箱桁は、一般に用いられる I 形の断面形ではなく、箱形の断面をもつ橋をいい、 I 形桁に比べてねじりに対する抵抗が非常に強いので、特にねじりを受けやすい場合やスパンの長い(支点と支点の間が長い)桁橋に使用されます。

八ヶ岳高原大橋の場合、四番目の橋脚から清里方面に向けて急激に曲げてきているので(その後、急坂に突入)前者に当てはまり、一般人の私から見ても本当によく考えてつくってくれた橋なんだと思わざるを得ません。この橋に携わってくれた人たちはまさに「地上の星」なんだと思います。

清里側(写真手前側)に渡るところで急激に曲げつつ上りが始まっています。ちなみに撮影地点の標高は約1100m。清里駅の標高は1275mなので、ここから一気に170mほど上げてくることになります。

どんな歴史がある?

今では、誰もが気軽に立ち寄れる清里の観光名所としても多くの人に認知していただけるようになりましたが、1998年(平成10年)6月22日に共用開始された当時は「清里高原有料道路」として整備された有料区間3.1kmの中の一部でした。

ちなみに料金は

普通車    250円

中型車    250円

大型車    400円

特大車    710円

軽自動車等  200円

軽車両等    30円

でした。

当時、清里と中央自動車道・須玉ICを結ぶ国道141号線の渋滞解消を目的として建設されましたが、利用台数が少なく、赤字が続いたため、2005年(平成17年)6月7日に無料開放となりました。

料金所のあった場所は、現在、駐車スペースとして使われています。本当は白線で駐車スペースが区切られているのですが、薄くなっていて大変見にくくなっています。

駐車スペースは?

駐車スペースは、清里側に普通車15台、大泉側の上り車線と下り車線にそれぞれ大型車2台・普通車5台づつ、駐車できます。また、大泉側の駐車場の近くには公共トイレがあり、そこにも大型車2台・普通車11台駐車することができます。

ただし、公共トイレの駐車場はトイレ利用者向けのものなので、とくに混み合ってる時にはトイレ利用以外の目的での駐車はお気を付けください。

八ヶ岳高原大橋の大泉側にある公共トイレです。屋根からも光を取り込むようなつくりになっているので、屋内はけっこう明るめです。向かって左側が女性用、右側が男性用です。

ー        普通車  大型車

清里       15台   0台

大泉(上り側)   5台   2台

大泉(下り側)   5台   2台

公共トイレ    11台   2台

車以外の行き方は?

車以外のアクセス方法としては、期間限定ではありますが(通常、ゴールデンウィーク前あたりから、11月上旬頃まで)、「清里ピクニックバス」という便利な公共交通機関がございます。「八ヶ岳大橋・中村農場前」で下車していただければすぐです。

運行期間・運行時間・周遊ルートなどは、シーズンごとに変わりますので、清里観光振興会のホームページで都度ご確認いただければと思います。また、料金についても今後変わるかもしれませんが、参考までに料金をご案内させていただきたいと思います。

2017年版

ー         大人       小人

ー      (中学生以上)  (小学生以下)

1回乗車     310円     160円

1日周遊券    620円     310円

2日周遊券   1030円     520円

2018年版

ー         大人       小人

ー      (中学生以上)  (小学生以下)

1回乗車     500円     250円

1日周遊券   1000円     500円

2日周遊券   1500円     750円

また、それ以外の方法として、JR小海線の駅からの歩き・自転車・ランニングなどでも来れなくはないですが、清里駅方面の坂道は約9%もの傾斜があり、大泉駅方面にも似たような傾斜の坂道があるため、帰りは必ず坂道を上らなければならず、それなりの体力が要求されると思います。

「黄色い橋」と「赤い橋」

八ヶ岳高原大橋が親しみを込めて「黄色い橋」と呼ばれているのには、同じ川俣川のはるか上流側にあり通称「赤い橋」と呼ばれる東沢大橋(ひがしざわおおはし)の対を成している存在という認識があるからのような気がしております。

東沢大橋は八ヶ岳高原大橋ができる約27年ほど前(1971年)から清里と大泉をつなぐ最短のルートとしてずっと地元の生活を支えてきました。今では最短ルートの座は八ヶ岳高原大橋に譲りましたが、上流側特有の切り立った渓谷の美しさと四季を彩る植物の美しさ、何より特徴的な真っ赤なアーチ橋の美しさがロケーションの美しさと相まって、長年、観光地としての清里を支えてきた、先輩、いや大先生と言える橋です。

ぜひ、黄色い橋を見た折には、赤い橋にも寄っていただき、どっぷりと渓谷美と造形美に浸かってみてはいかがでしょうか?このブログを読んだことで、橋をつくった地上の星たちの思いや地元の人とともに歩んできた時間など一緒に感じて、愛着をもっていただけたら幸せです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. しろ より:

    美しい景色だけでなく、その歴史まで紹介されていて素晴らしい記事ですね。
    最後の一枚、黄色い橋と奥の八ヶ岳の写真は大門ダムからの撮影でしょうか?
    今週末、信州に旅行に行くのですが、この素晴らしい景色を見てみたいです。

    • haru より:

      しろ様
      いつもありがとうございます。そして、新年始まったばかりでこんなにも素敵なコメントいただけて本当に嬉しく思います。つたない記事ですが丁寧に読んでいただいて心から感謝申し上げます。
      ご質問の件ですが、あの写真の位置関係で大門ダム(きよさと湖)からの撮影だと分かった しろ様ってすごい(;◎Д◎)!!と率直に感動してしまいました(笑)。はい☆ご指摘のように大門ダムから撮影させていただきました。実は、もしかしたらご存知かもしれませんが、大門ダムの管理事務所がある湖畔からダムの堤体を渡った少し先には、大門ダム全体が見渡せる高台のような場所がありまして(とはいえ観光用の展望台という雰囲気ではなく、このダムを造ったときに作られた作業用の道&高台といった雰囲気です。)、同時に、そこから黄色い橋(八ヶ岳高原大橋)もあのように見られるんです。その場所の詳細については、私が「賢者の森」としてYouTubeにアップロードさせいいただいている動画にちょうど記録されているものがありまして、もし、ご興味がございましたらそちらも併せてご覧いただけると雰囲気が少しつかみやすいかもしれません。その動画につきましては・・・
      当サイト「賢者の森」のトップメニュー「YouTube(動画版 賢者の森)」から「八ヶ岳」の項目の中にある「大門ダム」から「(3)清里湖畔 源太山&石尊山」のリンクから動画に直接アクセスできます。動画の中で、2:00ちょうどくらいに奥の方で見える崩落防止の赤い鉄の壁の少し手前左側にその高台への入り口(舗装されていない道)があります。(←こちらはグーグルマップのストリートビューで見ていただいても分かりやすいかもしれません。)また、9:25くらいにはその高台からの風景が見られ、実際に肉眼で見られる風景としては動画の感じが近いかもしれません。動画は全部で10分弱あり、ちょっとクセのある動画でもありますので(汗)、動画の下の方にでているシークバーをスライドしていただいてうまく飛ばしつつピンポイントで見ていただくとお手軽かと思います。説明が長くなりましたが、しろ様の参考になれれば幸いです。
      今週末、信州へ旅行に行かれるのですね!しろ様が信州のどんなところにいくのかと考えると、勝手に妄想が広がってしまって、自分が旅行に行くようで楽しくなってしまいます(笑)長野県も素敵な山がいっぱいあるのでお世話になることも多いのですが素敵な風景や夜景いっぱいあって本当に良いところですね☆しろ様の旅行のご安全と、素敵な思い出が持って帰られること、心からお祈りしております。また「賢者の森」でお手伝いできることがございましたら、今後もお気軽にコメントくださいませ。この度は、心温まるコメント、誠にありがとうございました。

      • しろ より:

        お返事いただき感謝します。
        YOU TUBEも拝見させていただきました。
        色々と調べた結果、ダム付近から撮影できるという情報しかなかったので諦めかけていたのですが、かなり詳しいご案内をいただいたのでたどり着けそうです。
        あとは天気と道の雪が少ないことを祈ります(笑)
        また何かありましたらよろしくお願いいたします。