雲の先の甲斐駒ヶ岳 [竹宇駒ヶ岳神社~黒戸尾根ルート](4話 / 全4話)

< 前回までのあらすじ >

当記事の投稿日から約5年前となる2012年9月1日の土曜日、山梨県北杜市白州町の竹宇駒ヶ岳神社(ちくうこまがたけじんじゃ)から、名峰・甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)向けて出発しました。

当日の天気は平地で晴れ。しかし登るほどに雲の中に突入し、湧き立つ雲の中を歩くような道のりで、幻想的な景色や様々な名所を越えながら日本三大急登として有名な黒戸尾根(くろとおね)ルートを進みます。

そして、黒戸尾根のほぼ九合目、このルートの象徴とされるほど有名な二本の剣が立つ大岩に到達したのでした。

第四話:二本剣の大岩~甲斐駒ヶ岳山頂

二本剣の大岩から少し上った地点で、辺りを少し見渡してみます。

再び山頂を目指します。当時のこの地点では、湧き立ちながら目まぐるしく変化していく雲の流れや日常とかけはなれた幻想的な風景が面白く、写真ばかり撮っていたもので山頂を目前にしてなかなか歩を前に進められないほどに充実していました。

そんな中、嬉しい出会いがありました。岩間から顔を出してくれたのは・・・?

雷鳥さんでした。甲斐駒ヶ岳の花崗岩に見事に溶け込んでます。

雷鳥さんの特集は、またの機会にして、再び山頂に向かいます。山頂はすぐそこです。(なかなか進まなくてすみません。)

ふと見上げると絶壁に立つ気になる石碑。

多聞天(たもんてん)。つまり武神・毘沙門天(びしゃもんてん)のことで、多聞天は四天王の一人としての呼び名です。なんだか、武運が上がりそうで気分も上がります。

そして、長い旅を経て、ようやく甲斐駒ヶ岳山頂付近に到着しました。厳密にはここは山頂の三角点からやや東側に位置する場所にある駒ヶ岳神社本社です。

甲斐駒ヶ岳神社では大己貴神(おおなむちのかみ)を主祭神とし、七柱の神々がまつられています。大己貴神は一般的には「だいこくさま」と呼ばれ広く親しまれている神様です。また、「だいこくさま」と並んで広くは出雲大社の大国主神(おおくにぬしのかみ)としても知られ、国造りの神、農業・商業・医療の神、福の神、縁結びの神などとして信仰されています。

そして、ここで奇跡の光が。

標準タイムで約9時間10分、標高2967m、日本アルプス屈指の名峰・甲斐駒ヶ岳の山頂です。日本百名山の著者である深田久弥(ふかだきゅうや)氏は「もし日本の十名山を選べと言われたとしても、私はこの山を落とさないだろう」と書き残しています。

ちなみに「甲斐駒ヶ岳」の名前の由来は諸説ありますが、山中に清流があって神馬を生ずるという伝承に由来するともいわれ、同様に竹宇登山口を流れている「尾白川」も、尾が白い神馬が住む霊境を源とする川であることから呼ばれているともいわれています。

第四話:二本剣の大岩~甲斐駒ヶ岳山頂 [おわり]

全4話でお届けした甲斐駒ヶ岳の旅はいかがだったでしょうか?登山口からの標高差が2200mほどあり、標準タイムで9時間を超えてくる黒戸尾根ルート。ゆえに投稿も全4回という長大なものになってしまったわけですが、このブログを見たことで、同じように旅をし、甲斐駒ヶ岳を通して自然の厳しさや美しさ、出会いの楽しさを味わっていただけたなら幸せです。

< 「雲の先の甲斐駒ヶ岳」 おわり >

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