ここ八ヶ岳南麓の清里高原にはさまざまな牧場があります。
それぞれの、のどかな風景や美しい景色がそこにはあり、場所によっては動物たちとの触れ合いも楽しめたりする癒しの場所です。
そんな牧場で牛などの動物を見ていると、何か「白い石のような塊」を美味しそうに舐めてる様子に出会うことがあります。
知っている人は知っている「白い石のような塊」、あれはいったい何なのか!?今回はそれを少し調べてみました。
この謎の白い石のような塊、主に食塩をはじめとするミネラルを糖蜜などに混ぜて成型したもので「鉱塩(こうえん)」といい、家畜や飼育動物に与えられる固形飼料です。
動物における塩の役割は、人間と同じです。
■体液の浸透圧の維持・・・細胞の形が正常に維持され、正常な機能を果たす。
■消化液の成分となる・・・消化液である胃液の主成分は塩酸である。
■酸・延期平衡の維持・・・体液や細胞内の水素イオン濃度(pH)が一定に維持されている状態で、複雑な生化学的反応を一定に保つ。
■神経の伝達に関わる・・・神経細胞が刺激を受けるとナトリウムイオンやカリウムイオン等が細胞内に出入りし、微少電流が流れることで神経細胞を通して刺激が伝わる。
■栄養素の吸収に関わる・・・炭水化物、タンパク質等が分解されるとブドウ糖やアミノ酸になり、それらの物質はナトリウムイオンと結びついて腸の粘膜から吸収される。
その他、味付けにも利用されるように食欲増進の効果もあったり、上記に書かせていただいた理由から熱中症を予防したり治療したりする役割もあったりします。
塩は動物が食べ物から摂取する重要な要素であります。そして、動物の食べ物は、草食動物なら植物であり、肉食動物なら動物ということになるのですが、とくに、植物には塩となる成分がほとんど含まれていません。
動物は塩が不足すると明らかな行動として塩欲求(塩を求める本能的なもの)が表れます。塩欲求が表れると、岩を舐めたり、木をかじりったり、土を食べたり、汗などを舐めるなどの行動をとるようになります。
そしてこれは人間にも見られるのですが、塩味があれば美味しくないものでも食べられるように、塩味の有る無しで食べ物を食べる量が自ずと決まります。動物においても塩欠乏が続くと食欲を失い、痩せ、やがて死んでしまうのです。
このようなことから飼育動物では動物の健康管理、生産性向上の観点から塩を飼料に混ぜ、あるいは自由に舐めさせるようにし、塩と一緒に不足しがちなミネラルを強化して与えているのです。謎の白い塊「鉱塩」にはそんな重要な役割がありました。
牛だって、塩が うまい!!